『ランチブッフェ』/山田宗樹
『嫌われ松子の一生』で有名な山田宗樹さんの本です。6つの短編が入っています。表題作の「ランチブッフェ」は、38歳の専業主婦の主人公と、同窓の友人3人とのランチに行くところから始まります。美味しいものを食べながらする楽しい会話は、じきに中学時代の話となり、当時芸能界に入った級友のことが話題にのぼる。自分たちの今の生活に不満があるわけではないけれど……。読むと、自分の人生についてちょっと考えてみたくなるかもしれません。個人的には、「二通の手紙」が好きでした。哲生と美佐子は大学時代に知り合い、やがて結婚した。幸せな生活は暫く続いたが、じきに考え方の違いが原因で離婚することとなる。離婚後の正月、哲生のもとに2通の手紙が届いた。送り主は、10年前の自分と美佐子。新婚だった当時に2人で行った遊園地で、未来の自分と相手に手紙を書くという企画がありそれで書いた手紙だった。10年前の自分と美佐子の手紙を読み、哲生の心は揺れる。ラストの台詞が、シンプルだけどグッときました。ちょっと時間ができたときに、一作品ずつ読むと楽しい本かもしれません。