佐野洋子「ぼくの鳥あげる」(幻戯書房)
佐野洋子さんの懐かしい絵本が幻戯書房という本屋さんから復刊されました。
小さい男の子はお母さんのお腹から出てきたとき、ひたいにぺったりと切手をはりつけていました。時々は、首にへその緒を巻き付けた赤ん坊が生まれることはありましたが、ひたいに切手をはりつけて生まれてきた赤ん坊は初めてでした。
こんなふうに、一枚のうつくしい「切手」の長い旅が始まります。なにせ切手ですから、旅しちゃうわけです。
天才的泥棒の一家、戦場の兵士、仲の良い夫婦、酒場の酔っぱらい、貧しい絵描き、図書館の貸し出し係、知らない国を旅する船乗り、伯爵夫人。 さて、波乱万丈の旅はこんなふうに終わります。
女の子は、若者のひたいにそっとキスをしました。
何だか要領を得ない案内ですが、お話なのでオチがわからないようにと思ってのことです。気にかかった人はお読みいただくほかありませんね。つまらなかったらごめんなさい。
我が家では佐野洋子さんは特別な人です。お出会いしたことも、もちろん、お話したこともありません。亡くなって、ドキュメンタリー映画『 100万回生きたねこ』を見ましたが、映画の出来は、少し残念だと思いました。「おれはねこだぜ」とか「100万回いきたねこ」以来、彼女が描く世界に惹かれてきましたが、今回復刊されたこの童話も、コユちゃん姫をはじめ我が家のチビラ君たちに手渡したいお話でした。挿絵を新しく広瀬弦、佐野洋子が「私の息子はサルだった」と書いた、あの少年が書いているのもうれしいですね。それではまたね。
追記2022・06・02
下世話な連想で申し訳ありませんが、我が家では谷川俊太郎と佐野洋子はセットなのです。で、谷川俊太郎の絵本や詩を案内したいと思うと、佐野洋子のエッセイや絵本もいろいろ思い出されてきて、どうしようかなと思いながら、それぞれ少しづつ読み直しているところです。まあ、何とか「案内」にこぎつけたいとは思っているのですが(笑)
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