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カテゴリ:読書案内「翻訳小説・詩・他」
100days100bookcovers no25 (25日目)
『ドラゴン・パール』シリン・パタノタイ著 田村志津枝訳 講談社 KOBAYASIさんの『ダックスフントのワープ』の紹介は愉快でしたね。ユーチューブの町田町蔵を検索したり、彼のバンド「INU」の曲を聞きながら書いています。「ダックスフント」と「ダックスフンド」の蘊蓄も英語とドイツ語の違いって知らなかったです。ひょっとして小説のしかけと関係があるのかしらと思いつつも、すぐには本が入手できないので確かめようがなく、KOBAYASIさんの紹介文だけを頼りに次の本を物色しようと思います。 その前に、ちょっと寄り道です。『ダックスフントのワープ』の登場人物設定は開高健の『裸の王様』にかなりよく似ていますよ。 調べたら、1958年に発表していて、芥川賞をとった作品ですので、思い出す方もいると思いますが。「僕」はしがない画塾でこどもに絵を教えていますが、小学4年生(?)の太郎の絵画教育を友人から頼まれます。太郎は学校でも家でも委縮しきっているので、絵を描きながら心をのびのびさせてやってくれと頼まれて、週に一度面倒を見るようになります。 初めのうちは、絵を描けない太郎の心をほぐすために、「僕」は即興の話をしたり、こわばった体と触れ合ったり、泥遊びをしたりします。次第に太郎の心もほぐれるようになります。 太郎の父は絵の具メーカーの社長。太郎は実母とは死別して、現在はまだ20代に見える若い母がいます。さらに、僕に太郎の指導を依頼してきた友人というのは、太郎の担任教師で、絵を描いていて絵画出展の際には太郎の父から援助を受けています。太郎の義母は「虚無」を抱えた表情を浮かべることがあります。ストーリーは割愛しますが、似すぎでしょ?手元に本はないのですが、偶然2か月ほど前、読んだところで、ちょっとびっくりしました。まあ、寄り道はこのあたりで切り上げます。 作品選びですが、犬→犬→猫→猫→犬ときたので、そろそろ犬から離れる頃かな。それなら、テーマは「ワープ」。瞬間移動、テレポーテーションのこととして、ジャンルはSFといきたいです。SFは、アニメや映画などのヴィジュアル的には嫌いではありません。 『宇宙戦艦ヤマト』『ターミネーター』『マトリックス』『インターステラー』『ブレードランナー』『トータルリコール』みんなワープしていると思いますが、全部原作読んでいません。『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』も読みかけのまま。文字情報だけでSFを想像するのはとても難しいです、私には。 というわけで、いっそ、フィクションからノンフィクションにワープします。 紹介するのは『ドラゴン・パール』シリン・パタノタイ著 田村志津枝訳 講談社 『星の王子さま』や『不思議の国のアリス』のように、8歳のタイの少女が激動の中国(異世界)に送られ、14年間過ごした思い出の記録です。偶然ですが、犬から龍(ドラゴン)に繋げることもできますね!(^^)! 最初にこう記されています。 古くから伝わる中国の神話では、龍(ドラゴン)は中国の皇帝あるいは皇帝の治める中国を意味していて、手厚い守護と細心の警戒の象徴であった。この龍(ドラゴン)は、雲のあいだを泳ぎまわりながら真珠(パール)をほうり投げて遊ぶのを、ことのほか好んだという。 1956年、著者シリン・パタノタイ8歳と、その兄ワーンワイ・パタノタイ12歳は中国政府との親密な関係を築くため、父親によって、タイのバンコクから北京に送られる。当時のタイのピブン首相はしたたかな政治家だった。 あそこで起きたことは恐るべき過ちだ。政府の堕落ぶりが、抗議に火を点けたのだ。そう思っている一方で、ヨーロッパの反応も私には気の重いものだった。何億もの人を食べさせていくこと、生死の境で生き延びる状況が長く続いたこと、それらがなにを意味するのかヨーロッパ人にはわからないのだ。彼らは豊かさを享受し、権力をほしいままにし、快適な生活を長く送ってきたのだから。 と終わり近くで書いています。 追記2024・02・02 ボタン押してね! ボタン押してね! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.02.02 20:59:21
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