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金子都美絵「一字一絵」(太郎次郎社エディタス)
後ろから乗りかかるように抱きつき・・・ 漢字一文字に一景の挿絵が描かれています。たとえば第七場のこのページでは、こう書かれていて、篆刻というのでしょうか、隷書以前と思われる字体が判で押してあるようです。 上品なピンク色の挿絵で、男と女が、簾ごしに見る影のように描かれています。 ページを繰れば、こんな字形があります。 漢字は「色」です。 「篆書」(?)の形がシンプルに描かれていて、解説が添えられていますが、文言は白川静の「字統」のもののようです。 隣のページに著者の言葉があります。 〈人〉と〈卩〉(せつ)からなる字。ひざまずく人(卩)の後ろに人がいて、乗りかかるように抱いている形の字。 もちろん、面白がってこのページを紹介したのは、シマクマ君の趣味というか、品性のなせる業なのですが、面白がった理由は「色」から「犯」への連想のながれでした。 ところで、今回、この本にたどりついたのには訳があります。話すと長くなりますから端折りますが、コロナ騒動二年目に突入する春の関心が「論語」、「春秋戦国時代」、「白川静」という、ぼくなりには一連なりの興味が湧いてきて、とりあえず、絵本で確認という感じです。 大人向けの「絵本」というか、金子都美絵さんがフェイスブックに「漢字の物語《一字一絵》」と題して投稿していらっしゃる記事の書籍化のようです。見くらべてみて、ぼくはこっちの方が気に入りましたが、リンクを貼っておきますからどうぞ。 金子都美絵さんは「絵で読む漢字のなりたち」(太郎次郎社エディタス)が10年ほど前に評判になった方ですが、白川静が読み解いた、漢字の、もっとも初期の「字形」の紹介者で、子供向けの「漢字かるた」とかのデザインもなさっているようです。 本書にのっているのは二十八場、二十八文字ですが、のんびりページをめくっていて篆書の象形の形が、だんだんと自分の頭の中にうかび始めてくる経験が、なかなかスリリングです。「常用字解」や「字統」などのような辞書だけ見ていても、こんな感じにはならない気がします。 最後に、二十八文字の「絵」の中で、「うーん、そうか!そうだったのか!?」とうなったのがこの絵です。 この絵を見て「漢字」はわかりますか?
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最終更新日
2021.05.29 02:30:29
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