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カテゴリ:映画「シネリーブル神戸」でお昼寝
ダルデンヌ兄弟「トリとロキタ」シネ・リーブル神戸
2023年の4月に入って、久しぶりの帰省があり、帰って来てみるとPCが壊れているという事件があり、仕事が始まるという焦りがあり、ようやく映画館に復帰したのが4月の10日の月曜日で、観たのは、予告編で気になっていたこの作品、ダルデンヌ兄弟の「トリとロキタ」でした。 最初から最後まで、徹底して救いのない映画でした。しかし、ここまで、徹底できるところにヨーロッパ映画の確かさと、ダルデンヌ兄弟という映画作家の思想の深さを実感しました。 「なぜ彼が弟だと分かったの?」 アフリカからベルギーにたどり着き、滞在ビザを得るための面接で、弟トリ(パブロ・シルズ)との再会の事情を尋問官から静かに問い質され、緊張した表情で目を瞠っている少女ロキタ(ジョエリー・ムブンドゥ)のアップから映画は始まり、共に生きていくはずだった姉ロキタのことを語る弟トリが中空を睨み据えた顔のアップで映画は終わりました。 「ロキター!」 トリの叫び声が頭の中に、繰り返し、繰り返し響き渡るような錯覚にとらわれて、暗くなった映画館で、しばらく座り込んでいると、スタッフの若い女性が入ってこられて、掃除を始められたのですが、先日、ポケットに入れていた老眼鏡を座席の下に落とした時に、拾っていただいた方だったので、思わず声を掛けました。 「先日は、お世話になりました。で、この作品はご覧になりましたか?」 会話した通りです。見終えて、楽しい映画ではありません。誰にも、おすすめしません。しかし、ボクはこの映画が突き付けてきたことを、もう、知らないとは言えないと思いました。 それは、この映画を見た前後、偶然、読んでいた「河馬に噛まれる」(講談社便庫)という、つい先日亡くなった、大江健三郎の小説集の中に、「この項つづく」という詩人で小説家の中野重治の作品中の言葉が引用されていましたが、ボクの中で「この項つづく」というべきものを、この映画に突き付けられたということです。 説明不足ですが、大江と中野の「この項つづく」は、以前書いた「河馬に噛まれる」の感想にも少し書いています。おそらく、今後も言及することになると思いますのであしからず、です。 それにしても、ダルデンヌ兄弟、すごいですね、こういう映画製作者がヨーロッパにはいるのですね。ちょっとうれしいですね。静かに拍手!です。ロキタとトリを演じたジョエリー・ムブンドゥとパブロ・シルズにも、もちろん拍手!です。まいりました(笑)。監督 ジャン=ピエール・ダルデンヌ リュック・ダルデンヌ 脚本 ジャン=ピエール・ダルデンヌ リュック・ダルデンヌ 撮影 ブノワ・デルボー 美術 イゴール・ガブリエル 衣装 ドロテ・ギロー 編集 マリー=エレーヌ・ドゾ キャスト パブロ・シルズ(トリ) ジョエリー・ムブンドゥ(ロキタ) アルバン・ウカイ(ベティム) ティヒメン・フーファールツ(ルーカス) シャルロット・デ・ブライネ(マルゴ) ナデージュ・エドラオゴ(ジャスティーヌ) マルク・ジンガ(フィルマン) 2022年・89分・G・ベルギー・フランス合作 原題「Tori et Lokita」 2023・04・10-no050・シネ・リーブル神戸no179 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.07.15 23:36:37
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