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カテゴリ:映画「シネリーブル神戸」でお昼寝
ルーカス・ドン「CLOSE」シネ・リーブル神戸
映画館に飾ってあるポスターの写真の少年の眼差しが気になってみました。ルーカス・ドンという監督の「CLOSE」です。2022年のカンヌ映画祭でグランプリ、ですから二等賞だった作品です。 多分、中学校の1年生くらいの年頃の二人の少年のお話でした。自転車での疾走、広がる花畑、教室の子どもたちの会話、熱中するクラブ活動、クラリネットとかアイスホッケーとか、そういうシーンが印象に残りました。 二人の少年は幼なじみで、名前はレオとレミです。映画の最後にはレオは一人ぼっちになります。あんなに仲良しだったレミも、レミの家族もレオの前から消えてしまいます。 チラシの写真で、こっちを見ている少年がレオです。背中がレミです。ボクが、この写真を見て気になったのはレオの眼差しに、なんというか、ケンというのでしょうか、何か尖ったものがあると思ったからです。 で、見終えて思い出したのが、いまから50年以上も前のことです。ボク自身が中3だった時に、子どものころから仲良しだったM君という友達がグレてしまった時のことです。それまで、よくできていた勉強とかにも興味を失って、新しい友達と連れ立って、まあ、タバコを吸ったりし始めたときに、気を揉んだ先生の一人がボクに声をかけてきました。 「S君、M君は親友やろ?M君あんなんなってるけど、放っておいてええんか?」 しかし、ボクは何もしませんでした。結果、それぞれ別の高校に進学し、そのまま、音信もとだえ、今に至っています。廊下かどこかですれ違った時、彼がボクに気づいて目を伏せたシーンが、なんとなく記憶に残っています。 レミがレオを見るシーンが印象深い映画でした。チラシのレオの眼差しにあるのはイノセンスではありません。しかし、イノセンスを捨てることでしかたどり着けない場所があって、そこでしか人は生きることができない、人間という存在の不条理に対する怒りであることは間違いないように思いました。 しかし、ね、レオ君、その怒りというか、戸惑いというかはね、結局、終わらないまま、心のどこかでわだかまり続けるんだよね。それでも、今、君が失ったものは、もう二度と帰ってこないよね。凛々しいレオを演じたエデン・ダンブリン君に拍手!でした。 で、まあ、ただの思い付きというか、思い浮かんだだけで、根拠はないのですが、今年「怪物」という作品を発表した是枝監督は、「怪物」を撮る前に、この映画を見たんじゃないかと思いました。 二つの映画はともに、少年たちの友情を描いていますが、両方とも、所謂、同性愛の萌芽を描いているなんていうのは眉唾ですね。少年というのは、まあ、少女のことはわかりませんが、あんなものです(笑)。 監督 ルーカス・ドン 製作ミヒール・ドン ディルク・インペンス 脚本 ルーカス・ドン アンジェロ・タイセンス 撮影 フランク・バン・デン・エーデン 編集 アラン・デソバージュ 美術 イブ・マルタン 衣装 マニュ・フェルシューレン 音楽 バランタン・アジャジ キャスト エデン・ダンブリン(レオ) グスタフ・ドゥ・ワエル(レミ) エミリー・ドゥケンヌ(ソフィ:レミの母) レア・ドリュッケール(ナタリー:レオの母) イゴール・ファン・デッセル(チャーリー:レオの兄) ケビン・ヤンセンス(ピーター:レミの父) 2022年・104分・G・ベルギー・フランス・オランダ合作 原題「Close」 2023・07・18・no90・シネ・リーブル神戸no200 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.08.20 20:32:30
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