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カテゴリ:映画「シネリーブル神戸」でお昼寝
石井裕也「愛にイナズマ」 シネ・リーブル神戸 このところ、新しい日本映画に気をひかれるということがほとんどないのですが、この映画は、題名のバカバカしさに目が留まり、
「ふーん石井裕也か?」 とチラシを見ていると白髪の佐藤浩市が写っているのに気づいてちょっと出かけてきたシネ・リーブルです。見たのは石井裕也監督の「愛にイナズマ」でした。 結局、なにが、どう、愛にイナズマなのかボクにはわかりませんでしたが、かえって、それも面白くて、納得の拍手!でした。 まあ、ボクから見れば少女にしか見えない折村花子(松岡茉優)さんが「きえた女」という自分の脚本を映画化したいと願っている、まあ、ウィキとか、なんとかには名前だけは出ている、セミプロ映画監督という設定で、手持ちのカメラをかかえて町をウロウロしているシーンから始まりました。 ビルの屋上から誰かが飛び降りようとしているという、ちょっと危ない現場に花子さんが遭遇し、周りの人たちがスマホのカメラを屋上の人物に向けて、決定的瞬間を期待して見上げています。花子さんは自分が持っているカメラをどうしていいかわからない様子で、ボーゼンとしていますが、屋上の人物は無事救出され、地上では落胆のため息が広がります。見事な「つかみ」でしたね。 今や、町を歩いているあらゆる人間のポケットにある、無数のカメラがなにを写す、いや、映す道具なのか、そういう問いかけから映画が始まったとボクは感じました。 映画の中には、ずっと、花子さんのカメラがあります。映画そのものと、花子さんの撮った映像とが入り乱れるので、少々めんどくさいのですが、「映画には、被写体の本当の姿が映る。」と元気に主張している花子さんのカメラです。しかたありません。 ですが、花子さん、見ているこっちがうんざりするようなプロデューサーと助監督とのコンビに軽く騙され、金もチャンスも失い、切羽詰まった末に、「きえた女」、つまりは幼い花子さんと兄二人(池松壮亮・若葉竜也)、そして父親を捨ててきえた母親の真実、つまりは、家族崩壊の真相を知るはずの父親のもとに帰ってきて、「本当のこと」を求めてカメラを向けるのですが、どうしようもないボンクラ演技を、真面目に演じようとする父(佐藤浩市)の姿に、主張とは裏腹に萎えてしまうあたりから、映画は家族の物語へと着地していきました。 アー、そうなるか、ヤレヤレ… まあ、そこから先の筋立ては見ていただくよりほかにしようがありませんが、アーそうなるかの落胆をひっくり返したのは、佐藤浩市のぼんくら演技もさることながら、 あんた、なんでここにおるねん? まあ、そういいたくなる不思議な青年、舘正夫君を演じた窪田正孝という俳優の存在感でした。「ある男」という、評判の作品で、安藤サクラの謎の夫、きえた男を演じていたような気がしますが、その時には印象に残らなかったのですが、今回、ブルー・ハーツ(古ッ!)の甲本ヒロトのようなしゃべり方で、人間界に間違って紛れ込んでしまった天使のような役回りを演じていて、これが ハマリ! でしたね。 映画としては、花子さんの現実社会での敗北も、家族との葛藤も、まあ、ステロタイプのハンコみたいな、重ったるい話なわけですが、この男を配したことで、フッと浮き上がった気がしました。多分、監督のセンスなのでしょうね。 ま、そういうわけで、窪田正孝君と佐藤浩市さんに拍手!でした。それから、石井裕也という監督に拍手!ですね。「月」とかいう作品が話題ですが、見ようかなあ??暗いのイヤヤしなぁ。 監督・脚本 石井裕也 撮影 鍋島淳裕 編集 早野亮 音楽 渡邊崇 主題歌 エレファントカシマシ キャスト 松岡茉優(映画監督志望の娘 折村花子) 池松壮亮(長兄 折村誠一) 若葉竜也(次兄 折村雄二) 佐藤浩市(父 折村治) 益岡徹(父の友人 則夫) 窪田正孝(舘正夫) 仲野太賀(舘の友人 落合) 趣里(携帯ショップの女) MEGUMI(プロデューサー 原) 三浦貴大(助監督 荒川) 2023年・140分・G・日本 配給 東京テアトル 2023・10・27・no131・シネ・リーブル神戸no208 ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.11.01 09:24:48
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