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カテゴリ:映画「シネリーブル神戸」でお昼寝
エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン「ミツバチと私」シネリーブル神戸 2024年のSCC=シマクマ・シネマクラブ第1回例会はエスティバリス・ウレソラ・ソラグレンという性別はわかりませんが、スペインの若い監督の「ミツバチと私」でした。作品を選んだのはシマクマ君です。題名とチラシの写真から「ミツバチのささやきEl espíritu de la colmena」という、あの傑作が思い浮かんでの選択でしたが、なかなか印象的な作品でした。
ただの連想ですがビクトル・エリセの「ミツバチのささやき」は直訳すれば「巣箱の精霊」で、この映画の原題「20.000 especies de abejas」は「2万種のミツバチ」となりそうですが、この作品の場合の「種」は「生きもの」の「種」というか、「命」というかのニュアンスだったようです。 始まってしばらくして、チラシの写真の子どもがおしっこをするシーンがあって、 「えっ?男の子なの?」 とようやく気付づきました。 要するに、ボクはここまでスクリーンに登場して「ココ」と呼ばれている主人公を「女の子」だと思って見ていたのですが、「男の子」だったのですね。と、まあ、納得したわけなのですが、 「そんなふうに納得していいの?」 というのが、この作品のかなり大切な問いかけの一つだったということが見終えて心に残ったことですね。 その、男の子なのか女の子なのかわからない「ココ」が聖堂で見つけるのが、一般に「ルシア」と呼ばれている聖像で、その「ルシア」という名こそ自らにふさわしいという発見が、多分、この映画の肝だったと思います。 明けの明星の化身、光の天使ルシア=ルシファーはイエスその人という考え方もあるようですが、堕天使ルシファー=サタンの方をキリスト教をよく知らないボクなんかは思い浮かべるわけですが、まあ、今一ピンと来てないのが正直なところですね(笑) 自らの生き方を父との葛藤の中で苦しむ母アナ、子どもをしつけの対象としてしか考えられない父ゴルカや祖母リタというココの周りの大人の姿が描かれる中で、ルルデスという養蜂家の女性を描いているところに、もう一つのを問いかけを感じました。 老人のあなたは子供たちが生きていくことを本当に祝福していますか? まあ、そんなふうな問いなのですが、虫を恐れるココをミツバチと出会わせる美しいシーンがありますが、 「息をしずめて、友達だとささやきかけなさい。」 というルルデスがココにささやくセリフがとてもよかったですね。 まあ、いろいろあるのですが、できれば、子どもたちが恐れず生きていくことを祝福する気持ちというか、眼差しというかを失わない暮らしをしたいと思いましたね。あんまり、らしくない言い草ですが、作品がいいとか悪いとかいう以前に、当たり前だと開き直って、乱暴なことをしたり、言ったりしていないか、そういうことを問いかけられた作品でした。 見終えた後のことですが、主人公のココがルシア=光をいう名を選んだことを反芻しながら、先日見た「パーフェクトデイズ」という映画で主人公の平山さんが木漏れ日を写真に撮ることに夢中になっていたことを思い出しました。彼は光の向うの世界から追放された人生を生きていたのかもしれませんね(笑)。 まあ、それにしても子供が主人公の映画は、もう、それだけで楽しいですね。出てきたいろんな子供たちに拍手!でした。で、いろいろ、考えさせてくれたエスティバリス・ウレソラ・ソラグレンという監督にも拍手!でしたね(笑)。 監督・脚本 エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン 撮影 ジナ・フェレル・ガルシア 美術 イザスクン・ウルキホ 衣装 ネレア・トリホス 編集 ラウル・バレラス キャスト ソフィア・オテロ(アイトール・通称ココ8歳) パトリシア・ロペス・アルナイス(アナ母) アネ・ガバラン(ルルデス ミツバチを飼う大叔母) イツィアル・ラスカノ(リタ祖母) マルチェロ・ルビオ(ゴルカ父) サラ・コサル(レイレ) ウナス・シャイデン(エネコ兄) アンデレ・ガラビ・エタ(ネレア姉) ミゲル・ガルセス(ジョン) 2023年・128分・G・スペイン 原題「20.000 especies de abejas」 2024・01・15・no004・シネリーブル神戸no215・SCCno16 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.01.31 22:16:23
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