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カテゴリ:映画「シネリーブル神戸」でお昼寝
三島有紀子「一月の声に歓びを刻め」シネリーブル神戸 久しぶりの日本映画です。まったくの偶然ですが、自宅にいた午前中、「安克昌の臨床作法」という雑誌、「心の傷をいやすということ」という映画で評判(?)になった、今は亡き、あの、安克昌を追悼した雑誌ですが、その中にある、彼とか、彼の友人の医療関係者のPTSD=心的外傷に取り組む話を読んでいて、医者というか治療者という人たちの、患者に対する立ち方に目を瞠るような気分を引きずるようにやってきて、見たのがこの映画でした。
三島有希子監督の「一月の声に歓びを刻め」です。別に狙ってきたわけではありませんが、見終えて、あまりのことに 絶句! でした。 映画は暗い雪の道をカンテラをぶら下げて、なんとかかんとか歩いていく老人の姿で始まり、寒々とした湖畔で胴間声を張り上げる老人の姿で終わりますが、実は三つのストーリーから構成されているオムニバス形式でした。一つ目は性的暴力の被害者であった娘れいこの死の責任を引きずる老父マキ、二つ目は母の事故死の現場を恐れる娘、海、、そして、三つ目は自らの性的な暴力の被害体験に苦しむれいこ、それぞれ、いってしまえばPTSDを抱える登場人物たちの、いわば「生きることの苦しみ」を真摯に描いた作品でした。一つ目と三つ目に同じれいこという名前が登場しますが、直接の関係はありません。ただ、「苦しみ」の共鳴、心の声のつながりを意図、あるいは希求してのことかなというおもんばかりは成り立ちます。映し出される風景は、それぞれ美しく、登場するのは哀しい人たちです。それぞれのエピソードも悪くありません。にもかかわらず、見終えた感想は なんだかなあ・・・ でした。 80歳をこえているはずのカルーセル麻紀さんが、なんだか可哀そうでしたね。彼が雪道をよろめきながら歩き、湖畔で転げまわるようにして、濁声で叫ぶという熱演だったのですが、その声が映画に響いてこないんですよね。 帰ってきて、映画が監督自身の体験に根差して作られているらしいことを知って驚きました。昨秋の芥川賞でも、作家自身の苛酷な体験に根差した作品が評価されていましたが、その作品も、ボクには登場人物が可哀そうなだけで、小説としては なんだかなあ・・・ だったわけで、なんだかよくわかりませんね。 なにはともあれ、この映画、ボクにはハズレでしたが、世評がどうなるのか、チョット興味がないわけではありませんね(笑)。 監督・脚本 三島有紀子 撮影 山村卓也 米倉伸 編集 加藤ひとみ 音楽 田中拓人 キャスト カルーセル麻紀(マキ) 松本妃代(海) 哀川翔(誠 海の父) 前田敦子(れいこ) 坂東龍汰(トト・モレッティ) 片岡礼子(美砂子) 宇野祥平(正夫) 原田龍二(龍) 長田詩音(さら) とよた真帆(真歩) 2024年・118分・G・日本 2024・02・13・no020・シネリーブル神戸no223 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.05.17 23:59:11
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