レニー・アブラハムソン「ルーム」シネリーブル神戸 「ギャガ・アカデミー賞受賞作品特集上映」鑑賞週間と決めて見てきたアカデミー賞作品の8本目で、一応これで終わりです。 上に貼ったチラシにあるように、2008年くらいからのライン・アップで、必ずしも作品賞ではありませんが8本です。あと6本残っていますが、今回見なかったのは、すでに見たことがある作品だったからですね。
で、今回見た作品は、制昨年(必ずしも受賞年度ではありません)が古い順に2009年制作の「スラムドッグ$ミリオネア」、2010年の「英国王のスピーチ」、2011年が「アーティスト」、「裏切りのサーカス」、2013年が「世界にひとつのプレイブック」、2014年が「イミテーション・ゲーム」と「セッション」で、この「ルーム」が2015年に作られた一番新しい作品です。
今回の特集は「ギャガ」という配給会社の作品の特集ですが、ギャガだからという特徴とか傾向はボクにはわかりませんが、アカデミー賞がどういう作品をノミネートしてきたのかということについてはなんとなく
体感!
しました(笑)。
感じたままをいえば、筋運びと構成の明快さと作り手の意図の「人間性」の中庸さ、で、当然、その結果の
後味のよさ!
が共通していると思いました。
まあ、いってしまえば「大衆性」の最大公約数が選ばれているという感じです(笑)。ただ、ボクには映像的な特徴をあれこれいう眼力がありませんから、要するにストーリーとして見た感想にすぎません。
で、今回の「ルーム」ですが、レニー・アブラハムソンというアイルランドの監督の作品でした。
7年前、通学の途中に誘拐され、小さな納屋に監禁され、その間に誘拐犯との子供まで生み、一人で育ててきた女性ジョイ。この世に生まれてきてから5年間、閉じ込められた狭い空間、「ルーム」で、母と誘拐犯の父の顔と、天窓から見える空しか知らずに育った少年ジャック。
つい、先ごろ見た「ボーはおそれている」という映画になぞらえていえば「ジャックは愛している」ということになるのかもしれませんが、彼が母であれ、他の他者であれ、人を愛することができるための本当の「ボク」になるためには
「外」=本当の世界
が必要になりますねという始まりでした。。
「ママの名前はジョイ、この「部屋」の外には本当の世界があるの」
母のこの言葉から、5歳になったジャックくんの
「外へ」の冒険!
が始まりました。
見終えて印象に残ったのは、「ルーム」から脱出して目の前に広がる
「本当の世界」
がかすんでいたことと、漸くジャックくんともども「本当の世界」に帰ってきたジョイの苦しみをジャックくんが救うシーンでしたが、なんといっても、ジャックに助けられて、何とか生きる気力を取り戻したジョイに、縋り付きながら、しかし、おずおずとジャックくんが口にする言葉がすばらしかったですね。
「ママ、おっぱい!」
ジャックとジョイは、やっとのことで母と子になれたのですね。
まあ、ジェイを演じたブリー・ラーソンさんが主演女優賞だったことにケチをつける気は、毛頭ありませんが、ジャックのジェイコブ・トレンブレイ君に
主演男優賞はどうですか?(笑)
という気分でした(笑)
まあ、そういうわけで、ボクなりのアカデミー賞論(?)にぴったりおさまる作品で、拍手!でした(笑)。
監督 レニー・アブラハムソン
原作・脚本 エマ・ドナヒュー
撮影 ダニー・コーエン
編集 ネイサン・ヌーゲント
音楽 スティーブン・レニックス
キャスト
ブリー・ラーソン(ジョイ母)
ジェイコブ・トレンブレイ(ジャック息子)
ジョアン・アレン(ナンシー祖母)
ショーン・ブリジャース(オールド・ニック犯人)
ウィリアム・H・メイシー(ロバート祖父)
トム・マッカムス(レオ義祖父)
2015年・118分・G・アイルランド・カナダ合作
原題「Room」
公開日 2016年4月8日
2024・03・01・no035・シネリーブル神戸no234
追記
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