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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2024.07.10
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​​カフカ研究会「カフカふかふか」(白水社)
 市民図書館の棚で見つけて
​​​「おや、カフカですか?」​​​
​ ​​​​​で、借り出して、パラパラ、パラパラ。その昔、有名な作品は読んだ記憶もあるのですが、まあ、それぞれの作品、どれというわけではなしに面白がって、ある時は、池内紀の全訳とか出たりして、再燃したりもしたわけですが、だからといって、所謂「カフカ教」的に入れ込んだわけでもない、
​​​「知ってる?」「知ってるで。」
「読んだ?」「うん、読んだで。」​​
 ​なのですが、​​
​​​「どの作品がおススメ?」​​​
​​とか言われると、​​
「さあー、人それぞれかな?大概、短いから、はまったら、みんな読んだら?!」
 なじいさんですが、今回、この本をパラパラやっていて、結構、面白かったですね。​​
​​​カフカ名場面集!​​​
​ でした。​
​​​​​ 誰が、そこを「名場面」と認定したのかというと、カフカ研究会という、多分、若い学者さんの集まりがあって、みなさんが「名場面」持ち寄りでこの本をお造りになったようで、まあ、それぞれの学者さんの思い入れ名場面という趣もあるようで、じいさんには、そこも面白かったというわけですね。
 ちなみに、上の表紙の写真に名前のある下薗りささん木田綾子さんのお二人は、一応代表者ということのようで、あと数人の執筆者がいらっしゃいます。​​​​​

​​ 下の目次をご覧になれば、わかると思いますが、それぞれの作品の「はじまり」、「山場」、「キャラクター」、「結末」といううふうに編集されていて、同じ作品の名場面を拾い読みすれば、話の筋もわかる(わけないか?)というふうになっています。​​
 一つ、まあ、有名どころを紹介すると
 ある朝、グレゴール・ザムザは不安な夢から目覚めると、自分がベッドの上で巨大な○○に変身しているのに気付いた。「変身」
 いきなり空欄補充のクイズみたいですみません。でもこの○○の箇所、ドイツ語ではUngezieferとなっていますが、日本語でピタッとくる訳語もなく、翻訳者も頭を悩ませてきたのです。辞書によるとUngezieferはシラミ、南京虫、ダニ、ねずみのような寄生的な害虫ないし害獣を意味します。シラミとねずみはかなりイメージが違いますよね。これまでの訳語を見ると、それぞれイメージが少し違っていて、「虫」、「毒虫」、「虫けら」、はては「ウンゲツィーファー(生贄に出来ないほど汚れた動物或いはむし)」といった、訳というよりもドイツ語の発音と語源の併記まで出てくる始末です。カフカ自身は、イメージの固定をよほど嫌がったらしく、本の表紙に変身したザムザのイラストだけは描かないでくれ、と編集者に頼んでいます。物語を読みながら読者が自分でザムザのイメージを作り上げてほしい、カフカはそう考えていたようです。ですから、いっそのこと、○○ならイメージがふくらんでよいかも?と思った次第です。以下略(P008)
 ​​とまあ、こんな感じですが、この「変身」については、ラスト・シーンも紹介されています。​
電車が目的地に着くと、娘が最初に立ち上がり、若々しい身体を伸ばした。「変身」
「変身」は、冒頭もそうですが、最後の場面もなかなかぎょっとさせられます。(以下略P151)
​ ​​​​いかがでしょうか?冒頭は、まあ、あまりにも有名ですが、このラストシーン、お読みになったことがある方、覚えていました?元気に起ち上がるのはザムザの妹なのですが、
​そういえば、そうだったかなあ?​
​​​​​​​​​​​ まあ、そういう印象で、全く覚えてなかったといっていいですね(笑)。
 だいたい、冒頭の引用での「虫」に関する蘊蓄でも、ザムザが変身した虫についても、たぶん「毒虫」と訳されていた翻訳で読んだと思いますが、「カブトムシ」とか「カナブン」、だから甲虫だと思い込んでいましたからね。いい加減なものです(笑)。​​​​​​​

​​ 引用されている名場面は、それぞれよく考えて選ばれていますし、紹介の仕方も工夫に満ちていると思いました。そういう意味で、この本の製作に携わった学者さんたちのお気持ちは察して余りあるのですが、それでも、カフカを全く読んだことのない初読の人たちには、少々敷居が高いかもというのが感想でした。
 読んだらいいのにという気持ちは、もちろんなのですが、いや、ホント!​若い方、カフカとかお読みになるのでしょうかね。​
 
目次
 はじめに
i こんなはじまり、あんなはじまり 冒頭の一文に引き込まれる
ii こんなキャラ、あんなキャラ 作品の登場人物たちに翻弄される
iii こんな世界、あんな世界 物語の設定に目がまわる
iv こんなカフカ、あんなカフカ 作家の素顔に驚愕する
v こんな終わり、あんな終わり 結びの一文に絶句する
 年譜/読書案内/あとがき​​​​​​​​




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​​​​​​​​​​​​​​​​​ 追記
 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)​​​​

 

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最終更新日  2024.07.10 12:03:14
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