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カテゴリ:読書案内「翻訳小説・詩・他」
カフカ研究会「カフカふかふか」(白水社) 市民図書館の棚で見つけて
「おや、カフカですか?」 で、借り出して、パラパラ、パラパラ。その昔、有名な作品は読んだ記憶もあるのですが、まあ、それぞれの作品、どれというわけではなしに面白がって、ある時は、池内紀の全訳とか出たりして、再燃したりもしたわけですが、だからといって、所謂「カフカ教」的に入れ込んだわけでもない、 「知ってる?」「知ってるで。」なのですが、 「どの作品がおススメ?」とか言われると、 「さあー、人それぞれかな?大概、短いから、はまったら、みんな読んだら?!」 なじいさんですが、今回、この本をパラパラやっていて、結構、面白かったですね。 カフカ名場面集! でした。 誰が、そこを「名場面」と認定したのかというと、カフカ研究会という、多分、若い学者さんの集まりがあって、みなさんが「名場面」持ち寄りでこの本をお造りになったようで、まあ、それぞれの学者さんの思い入れ名場面という趣もあるようで、じいさんには、そこも面白かったというわけですね。 ちなみに、上の表紙の写真に名前のある下薗りささんと木田綾子さんのお二人は、一応代表者ということのようで、あと数人の執筆者がいらっしゃいます。 下の目次をご覧になれば、わかると思いますが、それぞれの作品の「はじまり」、「山場」、「キャラクター」、「結末」といううふうに編集されていて、同じ作品の名場面を拾い読みすれば、話の筋もわかる(わけないか?)というふうになっています。 一つ、まあ、有名どころを紹介すると ある朝、グレゴール・ザムザは不安な夢から目覚めると、自分がベッドの上で巨大な○○に変身しているのに気付いた。「変身」とまあ、こんな感じですが、この「変身」については、ラスト・シーンも紹介されています。 電車が目的地に着くと、娘が最初に立ち上がり、若々しい身体を伸ばした。「変身」 いかがでしょうか?冒頭は、まあ、あまりにも有名ですが、このラストシーン、お読みになったことがある方、覚えていました?元気に起ち上がるのはザムザの妹なのですが、 そういえば、そうだったかなあ? まあ、そういう印象で、全く覚えてなかったといっていいですね(笑)。 だいたい、冒頭の引用での「虫」に関する蘊蓄でも、ザムザが変身した虫についても、たぶん「毒虫」と訳されていた翻訳で読んだと思いますが、「カブトムシ」とか「カナブン」、だから甲虫だと思い込んでいましたからね。いい加減なものです(笑)。 引用されている名場面は、それぞれよく考えて選ばれていますし、紹介の仕方も工夫に満ちていると思いました。そういう意味で、この本の製作に携わった学者さんたちのお気持ちは察して余りあるのですが、それでも、カフカを全く読んだことのない初読の人たちには、少々敷居が高いかもというのが感想でした。 読んだらいいのにという気持ちは、もちろんなのですが、いや、ホント!若い方、カフカとかお読みになるのでしょうかね。 目次
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最終更新日
2024.07.10 12:03:14
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