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カテゴリ:映画「シネリーブル神戸」でお昼寝
キティ・グリーン「夏の終わりに願うこと」シネリーブル神戸 不思議なことが続いています。2024年の7月の後半から8月にかけて、
うーんと唸るタイプの映画 が、みんな女性の監督なのです。 で、何の知識もないままやってきた「夏の終わりに願うこと」というこの作品もキティ・グリーンという、メキシコの若い女性監督でした。 やっぱり、ウーンと唸りました。傑作です! いきなり、公衆便所の一室で、ニコニコしながら便器に座っている、小学生くらいの少女と、 「ネエ、まだ出ないの?」 と促している母親のシーンで始まりました。 「ちょっと、早くしてくれませんか!」 とドアをたたく外からの声があり、 「ああ、もうダメ!」 という母親の叫びがあって、相変わらず 「まだ、でない。」 とニコニコしている少女の横で、おかあさんはスカートの下のパンツをおろしてしゃがみ込み、ことに及んでしまうという展開です。 すごい! おかあさんが少女の座っている便器の横の床で音を立てながら小用に及び、 「えー?!、そこでおしっこしちゃうん?」 という見ているこっちのタジタジをものともせず、 「ちょっと、紙とって」というセリフとともに、おかあさんが運転している自動車のシーンへかわります。 「えー、その床、ちゃんと流したん?」と、たじろぎが治まらないまま、思わずつぶやきながら思うのです。 「で、今のシーンなんやったん?」 と思っていると、 「おとうさん、死なないでほしい!」 あどけなく笑っていた少女が真剣な顔で答えて映画が始まったようです。 今日はオジーちゃんの家です。いつもは病気で会えないお父さんのお誕生日パーティです。 廊下の絵の上を這うカタツムリ。カマキリみたいな甲虫。カラス。年下の従妹のエステルとネコ、花にたかる小さな蜂。喉にあてて使うオジーちゃんの発声器。焼け焦げて燃え上がってしまったオバサン手製のお誕生日ケーキ。みんな集まって踊りはじめるオバサン。 「地球は滅ぶの?」 燃え上がる小さな熱気球。 パーティーのトリは、おかあさんに肩車された少女の、母子二人羽織、口パク絶唱は歌劇「ルチア」のアリア。 トイレで、あどけなく笑っていた少女のはじける笑顔。ようやく出来上がったケーキの蝋燭の炎に浮かびあがる少女の顔。 で、きれいに整えられたお父さんのベッド。 すべてのシーンが 「で、今のシーンなんやったん?」 を繰り返し浮かび上がらせます。 「ん?、ん?、ん?」 で、ワクワク、ドキドキへ引き込んでいく、それぞれのシーンのコラージュはただものではありません。 まずは、百面相の少女ソルちゃんを演じたナイマ・センティエスちゃんに拍手! で、メキシコの新しい監督リラ・アビルスに拍手!拍手!です。 人が、いや、地球や、太陽や、宇宙も、小さな虫や、ネコや、声を失ったオジーちゃんや、ガンで苦しんでるお父さん、心配のあまり、姉妹げんかをしてしまう伯母さんたちや、お父さんとソルちゃんを励ますお母さん。そして、あれこれ考えこんでしまう「太陽」と名付けられた少女ソルちゃん。 みんなが、今、生きていることの姿を、ありのままに励まし、肯定しようとしている映像の美しさが見ている老人の 「ん?、ん?ん?」 に応えていく心地よさ、これが映画ですね(笑)。 で、この映画、原題が「トーテム」なんですよね、やっぱり「?、?、?」なんですけど、何となく納得しましたね。宇宙樹とかいうあたりでしょうかね(笑)。 監督・脚本 リラ・アビルス 撮影 ディエゴ・テノリオ 編集 オマル・グスマン 音楽 トマス・ベッカ キャスト ナイマ・センティエス(ソル・少女) イアスア・ラリオス(ルシア・母) マテオ・ガルシア・エリソンド(トナティウ・父) モントセラート・マラニョン(ヌリア) マリソル・ガセ(アレハンドラ) サオリ・グルサ(エステル・少女の従妹) クルステレシタ・サンチェス(クルス) フアン・フランシスコ・マルドナド(ナポ) アルベルト・アマドール(ロベルト) 2023年・95分・G・メキシコ・デンマーク・フランス合作 原題「Totem」 2024・08・12・no104・シネリーブル神戸no261 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.08.17 12:42:52
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