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カテゴリ:映画「元町映画館」でお昼寝
五十嵐耕平「SUPER HAPPY FOREVER」元町映画館 先日見た「石がある」という作品に、妙にひっかかっていて、それでいて、どこにひっかかっているのかもよくわからないことが、まあ、気になって見に来ました。
五十嵐耕平監督の「SUPER HAPPY FOREVER」です。「石がある」の太田達成監督が助監督として制作に参加した作品だということなので、まあ、その世代というか、若い映画製作者の人たちがどんな映画を作っているのだろうという興味ですね。そのあたりに、ひっかかりを解くヒントがあるんじゃないかというわけです。 で、見終えた後、監督の五十嵐耕平さんの舞台挨拶とおしゃべりまであって、ナルホド、そういうことなのか! という、ボクなりの納得というか、スッキリ!というわけにはいきませんでしたが、ひっかかりを解く糸口のようなものを見つけた気がしました。 2023年、8月19日、どこかの、さびれたリゾートの海の見えるホテルの部屋で、男性が 「この部屋でよかったの?」と連れの男性に問いかけるシーンで、映画は始まりました。 廃業を間近に控えているらしいホテルの819号室、その部屋に、2023年の今日、 この男性二人が何をしに来たのか? というのが映画の設定のようです。 ネタバレ的にいうと、二人は佐野君と宮田君ですね。で、最近、佐野君の妻の凪さんが死んでしまったようなのです。で、実は、5年前の2018年の8月18日、佐野君と宮田君はこのホテルに泊まっていて、その時、今日、彼らが泊まっている819号室に泊まっていたのは佐野凪さんという女性だったのですが、だから、それがきっかけで、結婚することになったらしい、結婚する前から佐野凪さんという、その女性、佐野君の亡くなった奥さんと出会ったホテルなのですね。 で、今日、二人は何をしに来ているかというと、出会った時に佐野君が凪さんに赤いキャップ、帽子ですね、をプレゼントするのですが、写真家だった凪さんが、翌朝、一人で海岸とかうろついて写真とか撮っているときに、その帽子を失くしてしまうんですね。 失せ物探し! ですね。「石がある」では「石」でしたが、この映画では、死んでしまった妻が、5年前のあの時になくしてしまった赤い帽子でした。 どうして、佐野君がその帽子にこだわるのかとか、果たして、5年前に失くした帽子が見つかったりするのかとか、そのあたりはご覧になっていただくほかありませんが、ボクはこっちの映画の探し物の展開はよくできていると思いました。 同じように、理が勝っているというか、頭で考えた作品だとは思いましたが、 70歳のジジイを納得させる作品に出来上がっている!という感想です。拍手! で、帽子ですが、石はありませんでしたが、赤い帽子はありましたね。映画を見ながら、まあ、普通ありえないことなのですが、その失せ物が出てきたときに、なんともいえない嬉しさを感じさせてもらって、 なるほど、「SUPER HAPPY FOREVER」やな!と納得でした(笑)。 川底に転がった「石」は、やっぱり見つからないと思うのですが、何の変哲もないとしても、帽子とかなら見つかるんですよね(笑)。 こちらが、もう一枚のチラシなのですが、写っているのは海を見ている、在りし日の凪さんです。彼女は佐野君と、この海辺で偶然出会ったのですが、他の人とも出会っていて、映画に、人との「出会い」がもたらす希望の象徴のように赤いキャップの記憶を刻み付けて置いてくれていましたね。拍手! でもね、映画の中の佐野君は、最後まで、帽子の行く方は知らないんです。彼は、今回の旅で親友の宮田君とは喧嘩別れしてしまうし、探していた帽子は見つからないし、まあ、散々なのですが、映画を見ているこっちは 帽子を見つけて、思わず、ニッコリ! してしまうんです。この映画のたくらみの卓抜さは、多分、このあたりにありそうですね。一番切ない主人公は「UNHPPY」なままなのですが、見ているこっちはSUPER HAPPY FOREVER、うまいものです。拍手! 監督・脚本・編集 五十嵐耕平 脚本 久保寺晃一 撮影 髙橋航 編集 大川景子 ダミアン・マニベル 音楽 櫻木大悟 助監督 太田達成 キャスト 佐野弘樹(佐野) 宮田佳典(宮田) 山本奈衣瑠(凪) ホアン・ヌ・クイン 笠島智 海沼未羽 足立智充 影山祐子 矢嶋俊作 2024年・日本・フランス・G・ 94分 2024・10・12・no133・元町映画館no261
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最終更新日
2024.10.23 02:38:20
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