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カテゴリ:映画「元町映画館」でお昼寝
想田和宏「五香宮の猫」元町映画館 想田和宏の最新作「五香宮の猫」です。見ました。はい、何もいうことはありません。ただ一言、
満足! でいいです。 でも、なんか、感想を言いたい気分でもあります(笑)。 小説とかエッセイとか、文章には「文体」という言い方がありますが、映画とかではなんといえばいいのでしようね。 想田和宏の場合、映像を撮るのも編集するのも、彼一人による作業だからでしょうか、たとえばこの映画だと、最初の桜のシーンから、最後の桜のシーンまで、カメラが想田和宏という人の「眼」なのですね。 スクリーンではサビキで鰺釣りをしているおじさんから一匹もらった母猫が、それをくわえて走ります。すると、向こうから子猫がやってきて、その母猫から鰺をもらいます。その向うに、もう一匹の子猫がいて、それを見ています。 で、見ている子猫を カメラは見ています。 しばらくして、別の日でしょうね、今度は、多分、同じ母猫がオジサンが釣り上げて、針から外す前に鰺に跳びついて、また、駆けていきます。すると、さっきのシーンで、遠くにいた子猫がその鰺をもらって、さっきのシーンの子猫が、それにじゃれつきます。それを ずっと見ている「眼」があることに、共感というか、 「うん、うん」というか、スクリーンに映るシーンから目が離せません。 10数人の小学1年生が、先生に連れられて、新学期でしょうね、町の見学をしています。カメラとマイクに気づいて話しかけてきます。カメラが返事をします。 「好きなものなに?」 で、何やかや声をかけ合いながら横断歩道です。 「右向いて、左向いて、右向いて、大丈夫!さあ、渡ろう。」 先生が叫ぶように声をかけて、子どもたちが、ワヤワヤと横断歩道を渡るのを撮り続けています。 いいなあ・・・!徘徊老人ではこうはいきません。いつも見ているだけです。 神社の石段を登って行くオジーさん、小さな祠にお参りするオバーさん、スマホを持って猫に餌をやりながら写真を撮っている若いおねーさん、去勢・避妊する猫を捕まえている女性たち、嵐の中で玄関にやってきた猫、寄り合いで相談する町の人たち、捨てられた子猫。 カメラは、町で起こる小さな出来事を見続けていて、 その眼差しの柔らかさ?!が見ている徘徊老人の胸に沁みていきます。町を歩きながら、 こんなふうに見ることが出来たらいいなあ。 玄関にやってきた中学生の少女が夏の宿題のインタビューだそうで、カメラの眼に向かって問いかけます。 「映画監督になるには、資格とか免許とかいるんですか。」 ね、いい会話でしょ。 瀬戸内の港町牛窓の五香宮という鎮守の小さなお社や、その町内で暮らす猫くんたち。母猫がいて、子猫もいます。ネコ騒動に奮闘するおばさんやオジサン。掃除をしたり花の世話をしたりするオジーさんやハヤクチ言葉の集まりではしゃぐオバーちゃんたち。小学生や釣りをするオジサン。破れた御簾を何とかしたい宮司さん。 海があって、港があって、前島があって、向こうに、いつかの牡蠣工場がある町に夫婦で暮らして、なんの資格も免許も持たず、世間噺をしながら 映画を撮り続けている人がいる! まあ、それだけのことですが、それだけのことが神戸の郊外で古い団地に暮らしている徘徊老人を涙がこぼれてしまうほど励ますのですね。拍手! 監督・製作・撮影・編集 想田和弘 製作 柏木規与子 2024年・119分・G・日本 配給 東風 2024・10・27・no139・元町映画館no263
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最終更新日
2024.11.02 00:09:47
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