岸田奈美「もうあかんわ日記」(ライツ社)
今日の読書案内は
「だいじょうぶ!」
の掛け声が気に入って立て続けに読んでいる岸田奈美さんのエッセイですが、なんと、こんどは「もうあかんわ日記」(ライツ社)です。
彼女が中学生だったころお父さんが亡くなって、心臓病で大手術の結果、下半身不随、車椅子生活を余儀なくされているおかあさんと、身の回りのことはなんとかできるけれど、やっぱりダウン症ということで、あれこれ心配な弟との三人の生活を、「だいじょうぶ!」の掛け声のもと、なかなかユニークなエッセイを、多分、ネット上で発表されて、それが書籍化された本なのでしょうね、それぞれ、同じような装丁で小学館から出ている「国道沿いでだいじょうぶ100回」、「家族だから愛したんじゃなくて愛したのが家族だった」と、発表順は逆ですが、読み続けている岸田奈美さんの三冊目は、
「もうあかんわ」
でした(笑)。
ネット世代の新しい作家として大忙しの岸田さん自身の生活と、作業所やグループホームでの暮らしで、日々変貌を遂げる弟良太くん、車椅子生活者として、積極的に社会的活動を始めたお母さんのことを語る岸田節が面白くて、すっかりはまっていたのですが、「もうあかんわ」でした。
危機の始まりは、お母さんを襲い始めた日々の発熱で、まあ、お読みになればすぐにわかりますが、かつて手術なさった心臓の部品の老朽化のために、再度の命がけの手術が必要だという大事件の勃発でした。
多忙な東京生活から、神戸への帰省を余儀なくされた岸田さんですが、新たな関門は、コロナの騒ぎのなかでのお母さんの病状確認、通院、入院の経緯もさることながら、おバーちゃんでした。お母さんのおかあさんということで同居が始まっていたおバーちゃんは老化によるタイムスリップが常態化していたのでした。
母の大病の心配、入院までのあれこれ、手術の経過、言葉によるコミュニケーションが、今一つ成り立たない弟と祖母との生活、その上、ベランダの鳩(笑)まで、そりゃあ、「だいじょうぶ」とも言っていられませんよね。
本書はお母さんの発病から、退院まで、ほぼ二月間の日記的エッセイです。前半の数日は、ちょっと可哀そうで見てられませんという気分でしたが、手術が成功して、帰宅という頃になると、やっぱり「だいじょうぶ!」という感じで、ハラハラドキドキしますが読ませます。
いやー、聖火リレー、大丈夫でよかったね(笑)
追記
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