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カテゴリ:映画「元町映画館」でお昼寝
アンダース・エンブレム「ヒューマン・ポジション」元町映画館 今週で終わってしまうというので、焦って駆け付けました。元町映画館でやっている「ヒューマンポジション」というノルウェーの映画です。監督はアンダース・エンブレムという人ですが知らない人です。
「ノルウェーか、気になるなあ。題名も気にかかるしなあ。」 まあ、そういうノリでしたが、見終えて納得でした。 「これは、いいやん!」 でしたね(笑)。 出てくるのは、上のチラシの女性二人です。ああ、それから猫ね。白い服の一人は新聞記者をしているアスタ(アマリエ・イプセン・ジェンセン)で、黒っぽい服の、もう一人は、劇中の発言を聴いていて、 「どこかから難民とかできた人かな?」というニュアンスが感じられるライヴ(マリア・アグマロ)ですが、彼女は二人で暮らしているアパートでイスのリニューアルをしたり、英語の歌を作って歌ったりする女性です。 何だか古い建物の窓が繰り返し映ります。どうも、二人が暮らしている隣の建物のようです。二人は、同性の恋人同士のようで、何となくゴロゴロしているチラシのシーンも繰り返し映ります。部屋には、なかなかいい雰囲気の猫もすんでいます。それから、町の坂道、丘の上から見えるフィヨルドだなあと感じる海。並木道が繰り返し映し出されます。 先日見たゴンドラという作品が、この映画と似たような年頃の女性二人の映画で、風景にしろ、室内の描写にしろ、人物の撮り方にしろ、映像の雰囲気が何となく似ている気がして ええー、ひょっとしてこの映画もしゃべらないの?と、ちょっと焦って見ていると、ちゃんと会話がありました。それも、たとえば新聞記事に出てきた難民の処遇を巡っての結構シリアスな会話だったりします。 まあ、アスタという女性の仕事が新聞記者で、町の出来事について、現場で取材して記事を書くわけで、違和感やわざとらしさはありません。 何だ、これは? と思ったのは、最初のあたりのシーンでノルウェー家具を巡って日本での評判の話が出てくるのですが、そのあたりが始まりで、二人の関心が日本に向けられている描写が続くのですね。箸を使った食事に始まって、柔道着や着物を着ていたり、わけのわかららん碁石並べのシーンがあったり、とどのつまりには、多分、小津の映画だと思いますが日本映画のセリフまで聴こえてきて笑っちゃいました。 でもね、なんだか雑然とした若い二人の女性の暮らしの描写なのですが、背後に題名になっているA Human Position、まあ、ボク的には 「人として暮らすこと」 くらいの意味にとったのですが、それに対する登場人物二人のしずかな意思というか、態度というかが揺るがないのですよね。 で、そこのところに、作り手、だから監督の意識の誠実さがキラキラしていたと思いますね。まあ、その結果ですかね、毎朝の歯を磨いている二人のシーンを撮るのですが、その様子のコミカルというか、ちょっとづつ違うというかの描写とかが光っているんですよね(笑)。 「人間としての在り方」 を真摯に実践する時には、やっぱり、歯磨きは必須なんです(笑)。 ふたりの女優さんのくずれない演技に拍手!でした。それから監督の猫と人間に対する思いやりに共感の拍手!でしたよ。 ここのところ、立て続けにみてきた 若い人たちの「生きる姿」を描いた作品 の中では、頭一つ抜けていると思いました。もう一度、拍手!ですね。 監督・製作・脚本・編集 アンダース・エンブレム 製作 スティアン・スキャルタッド 撮影 マイケル・マーク・ランハム 音楽 エイリク・スリニング・コルネス キャスト アマリエ・イプセン・ジェンセン(アスタ) マリア・アグマロ(ライヴ) 2021年・78分・ノルウェー 原題「A Human Position」 2024・11・12・no146・元町映画館no264 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.11.14 22:01:14
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