リドリー・スコット「最後の決闘裁判」OSシネマズミントno12
リドリー・スコット「最後の決闘裁判」OSシネマズミント リドリー・スコットという人は,今や巨匠と呼ばれる映画監督で、現役、映画に長くご無沙汰していたぼくでも「エイリアン」とか「テルマ&ルーズ」とかから、最近では「ゲティ家の身代金」とかでしょうか、結構見ている監督さんです。人気の監督さんなのでしょうね、今日はOSシネマズミントで上映中の「最後の決闘裁判」にやって来ました。 今回はヨーロッパの時代劇ですね。14世紀くらい、日本なら鎌倉時代くらいでしょうか。国王がいて、領主がいて、家来の騎士・従騎士がいるという時代設定で、領主の伯爵ピエール役がベン・アフレック、なんというか、伯爵に姑息に取り入る従騎士ジャック・ル・グリ役が、最近よく見かけるアダム・ドライバーで、まあ、実直な戦いの人で、戦闘の功績で騎士に昇格するジャン・ド・カルージュ役を、この人もどこかで見かけることのよくあるマット・デイモンです。 で、カルージュの美貌の妻マルグリットを演じているのがジョディ・カマーという女優さんです。意志的な表情の美しさが印象に残る女優さんで、名前を覚えそうです。 題名になっている「決闘」は、留守の間に妻を凌辱されたカルージュが、明らかに手段を弄してレイプに及んだジャック・ル・グリと「真実」を決するために闘うのですが、勝者が「神」が選んだ真実の体現者というわけです。まあ、そういう時代ということです。 見ながらめんどくさいなと思ったのは、「レイプ」に至る真相が、まあ、今風に言えば被害者である女性マルグリット、彼女の夫カルージュ、加害者ジャック・ル・グリの三者の視点から、三度繰り返されるのですが、違いが微妙でよく分からないんですよね。 要するに、加害者が主張する「合意」、まあ、双方からの「愛」なのでしょうね、があったかなかったかを描こうとしているようなのですが、この描き方の意図はいったい何なんでしょうね。 確か内田樹だったと思いますが、この監督の出世作「エイリアン」をネタにして、アメリカ映画の「ミソジニー」について論じていたと思いますが、それを思い出しました。 「愛」や「あこがれ」の心理の内面をさぐるといえば、聞こえはいいのかもしれませんが、同じレイプシーンを三度繰り返して映される被害者の、まあ、作り事とはいえ、苦痛を想像させる演出の意図に疑問を感じました。 だいたい、映画全体が妙に「マッチョ」な印象で、なんだか、めんどくさい手の込み方で、あんまりいい感じがしなかった作品でした。 とはいえ、戦闘シーンや、決闘シーンはリアルですし、アダム・ドライバーやマット・デイモンの、それぞれの「くそ男ぶり」の演技は、なかなかリアルでしたし、なんといっても「美しさ」で、哀しく、猛々しい内面を演じたジョディー・カマーには拍手!でした。監督 リドリー・スコット原作 エリック・ジェイガー脚本 ニコール・ホロフセナー ベン・アフレック マット・デイモン撮影 ダリウス・ウォルスキー美術 アーサー・マックス衣装 ジャンティ・イェーツ音楽 ハリー・グレッグソン=ウィリアムズキャストマット・デイモン(ジャン・ド・カルージュ)アダム・ドライバー(ジャック・ル・グリ)ジョディ・カマー(マルグリット・ド・カルージュ)ベン・アフレック(アランソン伯爵ピエール)ハリエット・ウォルターアレックス・ロウザーマートン・ソーカスナサニエル・パーカー2021年・153分・PG12・アメリカ原題「The Last Duel」2021・10・22‐no98 OSシネマズno12