マウロ・リマ「マイ・バッハ」パルシネマno37
マウロ・リマ「マイ・バッハ」パルシネマ ブラジル映画、まあ、映画の前に国の名前を入れるとその国の映画になるというのも、わかったようで、本当はよくわからないのですが、ともかくも「ブラジル映画」です。加えて題名が「マイ・バッハ」ですから、なんだこれはと思いながら、まあ、きっと音楽映画やろうなと思って出かけました。 2021年の連休ですが、神戸は「緊急事態」が宣言されていて、空いている映画館はパルシネマ、神戸シネマ、元町映画館の3館だけです。1000㎡という、わかったようなわからないような基準で「営業自粛」の線引きをしたそうですが、去年の5月には根拠不明なバッシングで狙い撃ちされていたパチンコ店の前では、結構たくさんの人がたむろしていて、お昼前ということもあって、立ち食いそば屋さんの店先には並んでいる人もいました。 一方で、時々立ち寄るラーメン屋さんなどは当分休業の張り紙でした。なんか、チグハグですね。 パルシネマは、とても連休のさなかとは思えない客数で、まあ、いつものパルシネマだったわけですが、支配人を始め、頑張っておられたので、ちょっと嬉しい気分になりました。 で、「マイ・バッハ」ですが、「Joao, o Maestro」、が原題で、おそらくブラジルの人は、この題名で「ピン!」とくるのでしょうね。さしずめ、日本なら「マエストロ・征爾」で客が入るような気がするのですが、ブラジルの音楽好きの人は20世紀で「もっとも偉大なバッハ奏者」ジョアン・カルロス・マルティネスというピアニストで指揮者を、その演奏も人柄も知らないということはない、そういう人の伝記映画でした。 内気で孤独な天才ピアノ少年が国民的指揮者としての老年を迎えるまでの、文字通り、波乱万丈な生涯をたどる、ある意味で、ありきたりな映画ですが、圧巻は演奏シーンでした。見ていて息が止まってしまうというか、サスペンスドラマを見ていてドキドキするような、そんな超絶技巧の映像と音楽がこの映画の肝だったと思いました。 まあ、実に勝手な言い草で申し訳ないのですが、演奏のシーンが、どうしても、山場の切り貼りと、さわり集というふうになってしまっていて、それが、ちょっと、残念でしたね。 とはいうものの、映画の後半、指を失い、やがて、手そのものを失ってしまったピアニストの執念の演奏は、やはり感動的で、ただの音楽映画ではない味わいを残してくれましたね。 自宅に帰って、映画で使われていたGoldberg Variations, BWV 988: Ariaの演奏をユーチューブで探しましたが、これがなかなかすばらしい。新しいピアニストの発見でした。こういう、楽しさを残してくれる映画もあるのですね。拍手!監督 マウロ・リマ製作 パウラ・バヘト ホムロ・マリーノ・Jr.脚本 マウロ・リマ撮影 パウロ・バイネルキャストアレクサンドロ・ネロホドリゴ・パンドルフォカコ・シオークレフフェルナンダ・ノーブルアリーン・モラエスダビ・カンポロンゴ2017年・117分・R15+・ブラジル原題「Joao, o Maestro」2021・05・03-no44パルシネマno37