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Oct 29, 2024
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カテゴリ:読書・コミック
今回読んだ本は富野由悠季の「だから僕は…」
ガンダムの生みの親・富野由悠季氏の自伝本で読んだのは新装版。元は徳間書店から出ていた本で角川から出るにあたり加筆・修正をしてる
富野氏は「鉄腕アトム」の演出でアニメ業界デビューをしているが、少年時代のこと、虫プロ時代、一時アニメ業界から離れ、CMの絵コンテを書いたり専門学校で講師をしていた等がつぶさに書かれている

序章は1981年2/22に行われた「アニメ新世紀宣言」のことから。
その話が持ち込まれた時、富野氏は最初反発していたこと、当日は場所が場所なので慎重に事を運んでたこと
『 私たちは、私たちの時代のアニメをはじめて手にする。『機動戦士ガンダム』は、受け手と送り手を超えて生み出されたニュータイプ・アニメである。
この作品は、人とメカニズムの融合する未来世界を皮膚感覚で訴えかける。
しかし、戦いという不条理の闇の中で、キャラクター達はただ悩み苦しみあいながら呼吸しているだけである。そこでは、愛や真実ははるか遠くに見えない。
それでも、彼らはやがてほのかなニュータイプの光明に辿りつくが、現実の私たちにはその気配すらない。
なぜなら、アムロのニュータイプはアムロだけのものだから。
これは、生きるということの問いかけのドラマだ。
もし、私たちがこの問いを受け止めようとするなら、深い期待と決意をもって、自ら自己の精神世界(ニュータイプ)を求める他はないだろう。
今、未来に向けて誓いあおう。
私たちは、アニメによって拓かれる私たちの時代と、アニメ新世紀の幕開けをここに宣言する。』
と宣言文を読み上げたのはシャアのコスプレをした永野護氏とララァのコスプレをした川村万梨阿さん。ガンダムはアナザーの「W」から女性ファンが増えたというが、1stの段階で女性ファンがいたんだよなぁ

1章は少年時代、印象を受けた漫画のこと、虫プロ入社について描かれる。
大学時代でのこと、虫プロの入社面接のことも詳しく描かれてる

2章~4章は虫プロ時代のこと。「鉄腕アトム」を作っていた頃の虫プロの社屋、アニメ制作の流れが詳しく描かれている。
昔行った「エヴァンゲリオン展」でタイムシートだの原画とか見たことがあるが、セル画時代のアニメの制作事情・制作の流れが描かれてて、撮影を終えた後、虫プロの社屋の一角で手塚先生を交えた試写会があって、絵が乱れてたりすると呼び出しを食らっていたという話がリアル。
手塚先生に対する評価、「鉄腕アトム」に関わってたときの富野市の心情がメモに残っていたので引用されていたり、東映動画(現:東映アニメーション)関係者と接触したという話が出てきた
脚本家の辻真先氏の話。小説家としても知られるが早くホンを書いた時の凄さを知ったとか、「宇宙戦艦ヤマト」でSF考証を担当した豊田有恒氏のことも書かれていた

5章は虫プロを辞めた後の話、初恋(?)について描かれている
虫プロを辞めた後、富野氏は専門学校の講師をしていたり、広告代理店で絵コンテを書いたりしていたこと、「チョキ」の愛称を持つ女性と本気で結婚を考えていたことなどが描かれる。
虫プロを辞めた後講師とか異業種で働いていた…って話は初耳。

6章はアニメ業界に出戻ったときの話。「コンテ千本切り」(だったか?)と言われてた頃関わっていた作品が羅列されてて、「巨人の星」「どろろ」「ムーミン(TMS版)」「アタックNo1」「男一匹ガキ大将」「あしたのジョー」「みなしごハッチ」「いなかっぺ大将」「ふしぎなメルモ」「新・オバQ」「ど根性ガエル」「新造人間キャシャーン」「アルプスの少女ハイジ」 などに関わっていたと意外すぎる作品が並んでた。
巨人の星で長浜忠夫氏と出会ったことが描かれてた。

7章は結婚、「海のトリトン」について語られる
トミノメモにあの最終回について語ってる箇所がある。「海のトリトン」の最終回はトリトン族が悪者でポセイドン族は自己防衛のためトリトン族を滅ぼした…という善悪の逆転で伝説になってるが、なんであの最終回なのか、最終回に至る積み重ねについて語ってる。

8章はサンライズの前身・創映社のこと、「勇者ライディーン」のことが描かれる。
「ライディーン」制作時の安彦良和との出会い、「ライディーン」のコンセプトはマジンガーとゲッターを倒すこと。
TV局との相違があったこと「ロボアニメのアクションは最小限でいい」が富野氏の持論だった。
オカルト路線とロボット活劇の間でせめぎ合いがあって富野氏が降板したこと、長浜氏が後半監督を務めることになったが今までやっていたスタッフがクビになったことについて創映社の上層部に対して不満を持ってることを述べている
監督を降板した富野氏だが後半も残留して制作に関与し、コンVに参加。「コンV」に長浜氏が総監督をやると聞いて軽く嫉妬したものの、彼の技術を盗んでたことが語られる。(「ライディーン」「コンV」には高橋良輔・奥田誠治・石黒昇も参加していたりする)
「コンV」の次回作「超電磁マシーン ボルテスV」でも長浜氏が総監督をすると聞いて創映社のトップを恨んだと書いてある。
 富野氏は演出で「ボルテスV」に関わってるが、富野氏って「ザンボット3」で捻くれたところを書いていたから「ボルテスV」の総監督になったら捻くれた作風になってた?16話「ファルコン壊滅の危機」でファルコンのスタッフがバタバタ倒れるシーンを書いてるからなぁ
その頃の仕事のメモが書かれていて「メカンダーロボ」「あらいぐまラスカル」に参加してことが書かれている

9章は日本サンライズ創立のことが書かれている。
「ザンボット3」の制作裏話がまず書かれていて、サンライズは新興のアニメ制作会社だから制作現場で混乱が生じ、上手くスタッフが集まらなかったこと、安彦良和氏はキャラデザだけにとどまり、「ザンボット3」よりも下請けで参加していた「ボルテスV」の制作現場のほうが恵まれていることに不満を覚え、当時の社長に直訴したことがある事を述べている。
「ザンボット3」の狙いは「ロボット物のパターンを壊すこと」「自分の耳慣らし」。前者の方に関してはショッキングな内容だと思う。「迫害される主人公ら」「人間爆弾に特攻」は特に。

最後は「イデオン」について語ってる。キャラデザを担当した湖川友謙が企画の段階で参加していたこと、打ち切りが決まったものの映画化に躍進することになったことを「運が良い」と言っている。
ささやかな誤解から戦争状態になった地球とバッフ・クラン。最後は全員死んで魂が地平の彼方へ…という描写については「やってはいけないことだ」と自戒していると述べていた。
同人誌「逆襲のシャア友の会」でもゆうきまさみと庵野秀明(で合ってるか)の対談で「富野氏はアレ(イデオン)で終わったのかも知れない」とコメントしてるんだっけ。
「イデオン」は劇場版だけ見てるが、「発動篇」冒頭で吐き気を催し、皆が死んでいく所は軽くトラウマになってるんだが、富野氏の哲学が垣間見れる内容なんだよなぁ。異文化同士って決してわかり合えないって所が


【中古】だから僕は…―ガンダムへの道 (角川スニーカー文庫) 角川書店 富野 由悠季​​


機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会[復刻版]





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最終更新日  Oct 30, 2024 11:04:04 PM
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