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2010.05.27
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カテゴリ:枕草子
  ザクロ
ザクロ

笛は横笛が素晴らしい。
遠くから聞こえていた音が、だんだん近くなる時は素敵だ。
近くの音が遠ざかっていき、微かに聞こえるようになる時もとても良い。
車の中で吹く笛、歩きながら、馬上でも素晴らしい。
笛は懐に差し入れていても、仰々しくなく目立たないように持っているのも、これほど結構なものはない。
まして聞き覚えのある曲が聞こえてくると、なんとも嬉しくなる。
暁に帰った男が置き忘れた風情のある笛を、枕もとで見つけた時には微笑ましい。
忘れた人の使いが、笛を取りに来た時、丁寧に包んで渡す時、恋文のような気がして面白い。
笙の笛は、月が明るい時に車の中で聞いたのが、とても趣があった。
楽器は取り扱いが難しそうに見える。そして吹く時の顔ときたらどうだろう。
でもそれは、横笛であっても吹き方次第だ。
篳篥(ひちりき)は、とてもやかましくて、秋の虫に例えればクツワムシのようで、近くでは聞きたくない。
まして下手に吹かれたのではひどく癇にさわるが、お祭りの日、楽人がまだ御前に出ず、控えている時、横笛を素晴らしく吹き始めたのが聞こえた時には素晴らしいと思った。
その時、急に加わった篳篥がまったく嫌な音で、髪が逆立ってしまいそうだった。
そのうち琴や笛に合わせるようになって、歩み出て来た時には良かった。







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最終更新日  2010.05.28 08:09:38
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