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カテゴリ:文芸投稿
独楽吟 川島 弘高 いきがいを感じ、やりがいを覚える瞬間があると人は、自分の持てる能力以上のものを発揮することがあります。うれしい、楽しいときに脳からドーパミン物質がでて気分が良くなり身体までもが活性化するのではないでしょうか。行っている行動に対して快なる状況を得ると脳はドーパミン物質を分泌することによってやる気も起きるというものだそうです。 たのしみは朝起きいでて昨日まで なかりし花の咲ける見る時 江戸末期の歌人、橘曙覧1812〜1868(タチバナノアケミ)のつくった代表的な和歌ですが、「たのしみは」で始まり、「とき」で終わる和歌52首を「独楽吟」としてまとめたことで知られています。 この「独楽吟」を現代によみがえらせようと橘曙覧の生まれ故郷、福井市の(財)歴史のみえるまちづくり協会が広く一般に募集して「平成独楽吟」をまとめたものもwebにはあります。 「あなたの楽しみは、何をやっているときでしょうか、どんな時でしょうか」を歌に詠んだわけです。独楽吟は、人生の喜怒哀楽の中で楽に焦点をあてたわけです。楽しみは、日常の中にあるということを橘曙覧は詠んでいます。 平成6年、天皇皇后両陛下がアメリカを訪問した折りに、クリントン大統領が歓迎スピーチの締めくくりに、橘曙覧(たちばなのあけみ)の「独楽吟」の1首「たのしみは朝起きいでて昨日まで なかりし花の咲ける見る時」を紹介したことで以降、橘曙覧の和歌が再評価されることになったようです。 この「たのしみは」で始まる短歌は江戸時代末期の歌人である橘曙覧氏が約200年前に詠んだ 独楽吟に習い、日々の楽しみを私なりに詠みつづけ、彼が詠んだ10倍であるところの520首を目指してきました。はい、ついに13年余かかりましたがなんとか達成することができ感無量です。後半ラスト30首あたりから、推敲を重ねる愉しみを知るようになりました。最初に詠んだものが土台とするなら、より納得できるものにピースの入れ替えを施す様な作業です。収まるところに収まる感覚がでてくると、これでいいかとなるわけです。以下、最後半の52首です。 ・たのしみは 生きる先々 あれやこれ 琴線触れる 出会いあるとき ・たのしみは 春いちばんの 野良仕事 里芋植えて 芽吹き待つとき ・たのしみは 正月気分 温泉に 昼湯露天の 湯浴みするとき ・たのしみは ピタリと合った はき心地 粋なジーンズ 見い出したとき ・たのしみは 姪の電話で とち乙女 桃の返礼 明日届くとき ・たのしみは 歴史感じる 食堂 暖簾かき分け 食べ歩くとき ・たのしみは なにげに美味い ナポリタン 老舗の味を 堪能すとき ・たのしみは 通う温泉 仲間あり よもやま話 華が咲くとき ・たのしみは 老舗の味が 舌に滲む 食堂訪ね 食べ歩くとき ・たのしみは 回転焼を 食後に デザートとして ほおばれるとき ・たのしみは ついに見つけた 懐かしの ラーメン味を 箸啜るとき ・たのしみは 2万本もの 福寿草 花咲く現場 訪れるとき ・たのしみは WBC初戦 大谷の 二刀流を 見てとれるとき ・たのしみは 庭に育った 枇杷の葉もいで ビワ茶つくり 味わえるとき ・たのしみは 頂き物の 蕗の薹 天麩羅にして 春味わうとき ・たのしみは 独楽吟の 満願を 如何に祝うか 思案するとき ・たのしみは 鶯の声 聴きながら 真似て口笛 吹いてみるとき ・たのしみは 退院したら あれやこれ やりたいことを 考えるとき ・たのしみは 春一番の タラの芽を 天麩羅して 味わえるとき ・たのしみは 郊外に出て 癒やされる 景色現れ 散歩するとき ・たのしみは コロナ後初の 山開き 新ピンバッジ 頂けたとき ・たのしみは わらびアク抜き 初めての 下拵えで 吟味するとき ・たのしみは 先々をみて 今できる 実り期待の 苗植えるとき ・たのしみは 山椒の葉を 練り込んだ じゅうねん味噌 よくできたとき ・たのしみは 実るその日を 待ちわびて 指折り数え 世話をするとき ・たのしみは 新境地の こころもち きざし感じて 踏み出したとき ・たのしみは 散歩の後の イチゴ摘み 食べ頃の紅 探し出すとき ・たのしみは 来年春の リベンジよ 満開に咲く 躑躅観るとき ・たのしみは 誤作動で知る 新機能 今までにない 便利知るとき ・たのしみは 中華鍋振り 腕ふるう ウドのキンピラ よくできたとき ・たのしみは 食欲ます えごま味噌 新規食べ方 ひらめいたとき ・たのしみは 冷や汁にして 取り寄せの ひもかわうどん 喉とおるとき ・たのしみは 霊泉元湯 湯に浸かり 四方山話 華が咲くとき ・たのしみは 梅干しづくり 副産の 梅酢漬物 味わえるとき ・たのしみは 擂り鉢出して エゴマ擂り 冷や汁つくり 箸すすむとき ・たのしみは 日々育ってる シークァーサー この実絞って 味わえるとき ・たのしみは 子供のころに よく食べた ナスの樽漬け またつくるとき ・たのしみは はたしてどんな 進化した 次世代車に 試乗するとき ・たのしみは 肥料袋に 直植えの 青唐辛子 日々芽吹くとき ・たのしみは 柚子胡椒を 初めての 自作試み よくできたとき ・たのしみは 旬の味わい 炊き込みは ムカゴに栗と 口にするとき ・たのしみは 初めて見れた 伝統の あばれ地蔵が 揺れ動くとき ・たのしみは 地域の祭り 火を焚べて 芋煮鍋煮て 餅配るとき ・たのしみは 新蕎麦祭り 紅葉狩り 珍道中の 小旅するとき ・たのしみは 玄関先の 山茶花が やがて満開 咲き揃うとき ・たのしみは 月に一度の お寿司の日 旨い上鮨 口運ぶとき ・たのしみは 趣味の分野で 上達の コツとノウハウ 気がついたとき ・たのしみは 生スルメイカ 刻み込み 塩辛つくり 晩酌のとき ・たのしみは 人喜ばす 手打ち蕎麦 退院祝い 蕎麦渡すとき ・たのしみは 年末餅の 搗きたてを 届けてくれる 友来たるとき ・たのしみは たのしみ見つけ その後に またたのしみが 降りてくるとき ・たのしみは たのしみ捜し その後に またたのしみの 続き見たとき ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 手打ちした生蕎麦を150g茹でて水に晒したあと氷水で〆るとグッと蕎麦の味が冴えるような気がする。趣味の蕎麦打ちだからこそ食べたい時に蕎麦を打てるからいいね。 #今日のランチ #趣味の蕎麦打ち お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024/08/03 03:33:47 PM
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