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カテゴリ:気になった映画・ドラマ
『愛を読むひと』 ハンナという21歳年上の女性と知り合った15歳のマイケルは、彼女と毎日ベッドを共に するというひと夏を送る。ハンナはマイケルにさまざまな本を朗読をさせる。ある日突然ハ ンナは姿を消してしまう。互いに何の連絡も取らないまま8年の時が過ぎ、数年後、法学 生となったマイケルはナチス戦犯の裁判で被告席に座るハンナを見つける。彼女は300 人のユダヤ人を死なせた罪に問われていた。
何故かハンナは愛の行為の前に本を読ませる。この朗読という伏線が後半の裁判の行 方、そして無期懲役で収監された彼女への朗読テープの差し入れへとつながっていく。 彼女が重罪を科されようとも守り抜きたいと願った尊厳が朗読の行為に秘められている。 ときどき映画の日本でのタイトルの付け方に疑問を思う。そのままの方がいい時が多い が、この『愛を読むひと』もそうだ。これよりも元々の『朗読者』の方が合っているように思 う。 この映画は、ユダヤ人のホロコーストを取り上げた映画としては直截的に残虐な表現して いないが、それがむしろ一層悲しみを伝えてくれている。前半の甘い愛欲のシーンには戸 惑ったが、それがハンナの物思いに沈み、陰りのある憂いをおびた表情を際立たせてい る。映画の進行とともに、その暗さの背後に戦争の傷跡があったのかもしれないと気づか される。そして戦争が貧しい善良な女性を戦争に巻き込み、知らないうちに加害者に仕立 てる恐さを伝えてくれる。 それにしてもハンナ役のケイト・ウィンスレットが、あの『タイタニック』のローズとは驚きだ。 綺麗で演技力のある女優さんだったが、どっしりとした名女優に変貌した。昨年のアカデミ ー賞で主演女優賞というのもうなづける。 邦画:洋画が7:3だったが、こういう映画を観ると5:5でもいいな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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