土橋真二郎 『ツァラトゥストラへの階段』
気がついたとき、福原駿介は囚われの身だった。見知らぬ部屋で鎖に繋がれた人間が自分を含め11人、そして部屋の中央には首を吊ったらしき者が。個々に与えられた大金と1丁の拳銃を手に、11人は部屋からの脱出のために動き出すが、それは過酷なゲームの始まりだった・・・ 『扉の外』でデビューした土橋さんの新シリーズ。前シリーズ同様に、ゲームを全面に強く押し出した作品となっています。そしてそのゲームの性質の悪さも相変わらず。容赦なくプレイヤーの人間性を暴き、一歩間違えれば人生まるごと失いかねないようなシロモノです。やってくれます。 ただ、紹介文で強く印象づけられる「パルス」という異能があまり意味を持たず、むしろこの1冊の範囲だけであれば「パルス」なんて要素は不要ともとれます。もちろん、今後のストーリーでは重要な鍵を握ることになるのでしょうが。 あらかじめシリーズ化を前提とした1巻目にあたるため、説明的であったり逆に全容がわからなかったりと何かと不親切に思える部分もありますが、それは仕方のないこと。 まだまだ登場人物たちの立ち位置もよくわからないのですが、現状ではややキャラクターが弱いでしょうか。そう考えると、『扉の外』は素晴らしかったのかも。女神やら天使やら。ぜひ、リンクさせて欲しいものです。オーレもこっそり出てくることですし。 次はチェスをモチーフにしたゲームだそうなので、どれだけ過酷なものにしてくれるのか、楽しみに待ちます。2008年1月9日読了