「絶対泣かない」/山本文緒
最近、この山本さんの作品が巷で評判が良いようなので読んでみました。様々な職業に就いている女性を描いた短編集です。フラワーデザイナー、体育教師、デパート店員、漫画家、専業主婦、などなど。私は小学生の頃から漫画家に憧れていて、好きな漫画を描いてお金をもらえたらなんて幸せだろうかと思ってました。でも、才能はないし全く努力もしなかったので当然なれるはずもなく。でも働くということは好きなようで、学生時代にもいろんなバイトをしたし、フリーターの頃もあったし、結婚して違う土地に来てからも、新婚旅行から帰ってきてから3日後にはパートに出てました。働く理由はというと、やはりお金。・・というか、そのお金で満たされる物欲とか、満足感とか。でもそのためには職場の人間関係とか、トラブルとか、様々なことにもまれていかなきゃならない。それはつらくもあり、また充実感につながったり。この小説を読んで、共感できることがたくさんありました。こんな女性は素敵、とか、こんな時、自分だったらどうするだろうとか。「花のような人」のフラワーデザイナーの彼女はすごく素敵。お嬢さんで、いつも綺麗な格好をしていたのに、会社を辞め、フラワーデザイナーとして活躍。でもお化粧っけはないし、手も荒れて・・それでも、仕事に充実感を感じて生き生きと働く彼女は、まさに「花のような人」。こんなふうになれたらいいなあ。「ものすごく見栄っ張り」の体育教師の女性。体格がよく、美人でもない。彼氏もいない。コンプレックスを持つ彼女は、細くてかわいらしい女生徒に、ついストレスを発散させてしまう。そんな彼女が、初めてお見合いをすることになった。その相手というのが・・。展開はある程度わかっていたのだけど、不覚にも私の目からポロリと涙がこぼれました。電車の中で読んでいたというのに。(まあ、私は普段から涙もろいのですけど)私も容姿に自信が無かったので、こういう気持ちはよくわかる。女性徒の言葉が胸にしみる。私の現在の職場は結構気に入っていて、充実した日々を送っているけれど、世の中の働く女性たちの様々なシーンが思い起こされて、読んでいて元気が出ます。すごく読みやすいのでお勧めですv本を読む時間が少ししかない人にも。