12月の読書記録 その2
2006年に読んだ本の合計は104冊でした。今、思い返してみると、印象に残ったものから、内容をあまり覚えていないもの、生きていく上での大きな指針となったものなどさまざまです。でも、どの本も少しずつ今の自分を作っているのだなあと思うと、本との出会いも貴重でありがたいものだなあと思います。 12月に読んだ他の本は以下の4冊。 『僕は見習いナチュラリスト』 加藤直邦 2007.3 ケニアでサファリツアーガイドをしている著者の、動物観察の記録やマサイ族や現地のレンジャーとの交流などについて書かれたエッセイ。野生動物について知らなかったことを知ることができ、興味深く読み進めました。 例えば、カバの闘争は口を大きく開け、相手よりも大きく開いた方が勝ちとなるとか、水に浮くことが出来ないカバは、突然の増水があると溺れて死んでしまうことも多いとか。ライオンの縄張り争いや、あまりよくしらないヌーやハイエナの生態など。絵本でしか知らない「ガラゴ」も出てきました。 面白い話、心温まる話だけでなく、動物の世界の厳しさもよく描かれています。それも含め自然というものの奥深さをまた一つ知り、そして一度アフリカの野生動物を観に行きたいなと思うのでした。 女性の品格 板東眞理子 2006.10 発売から一年以上経ちながらも、未だにベストセラーになり続けている本書。マナーや言葉遣い、装いや買い物の仕方、お金の使い方、人間関係など当たり前のようなことがさらっと書きつづられています。この本が求められているというのはそれだけ、その当たり前を意識せず生活していることの多く、また忘れかけてきたその感覚を取り戻そうというという時代なのかもしれません。当たり前のように思っていても、実際はできていないこと、言われてみると成る程と思うことなどいくつか自分のツボにあてはまるものがありました。品格とはどのようなものか、自分なりに考えるきっかけともなりました。 エジプトのききめ。 ムラマツエリコ なかがわみどり』 2003.4 著者二人がエジプト旅行に行った時の旅行記をイラストや写真を交えながら楽しく紹介されています。特におもしろいのがエジプト人との関わり。ぼったくりの話だったり、日本人と見るとすぐに求婚してきたり。読んでいてくすっと笑えるものばかりです。 なるほどと思わされたのが砂漠での夜の空。見渡す限りの砂と空しかないところでは星はドーム上に見えると言うこと。日本にいると空は上にあるという感覚なのだけど、砂漠では空は前後にも左右にもある。そんな風景を想像すると、昔の人が天動説だと思ったのも何となく分かるような気がしてきます。 『翻訳者はウソをつく!』 福光潤 2007.10 翻訳は、訳す人の思いや出版社、映画配給会社の意向、用途、その時代や国の文化などが背景となっているため、その裏側の事情を垣間見ることができるのは面白いものです。この本はそんなエピソードがいくつか入っていて、なるほど・・と感心したり、へえ~と思ったり、くすっと笑えたりします。 例えばシェイクスピアの有名な一文。 To be, or not to be, that is the qestion. の訳は「生か死か、それが問題だ」が一般的。 それが、1874年の漫画雑誌の訳には 「アリマス、アリマセン、アレハナンデスカ」1894年の岩野泡鳴訳では「死のか、死のまィか、一思案」1905年の浅野和三郎訳では「定め難きは生死の分別」1977年の小田島雄志訳は「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」 その他の訳もいくつか紹介してあって時代の流れや、いかにも日本人らしいなあというところが感じられて楽しめました。 今月は、以前日記に書いた『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』(堤未果)と合わせて6冊でした。 来年も年間100冊くらい読めるように、まだ来年も読書からも学んでいけるようにしたいと思います。