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テーマ:お勧めの本(7406)
カテゴリ:歴史学習
いわき市でのボランティアの翌日。
夕方、仕事をあっさり目で終わりにしてそのまま武蔵大学の図書館で情報処理試験の午前I、IIの勉強をする。 眠気が来たので気分転換にたまたまカバンの中に入れたままにしておいたこの本を読み始めたら、、、そのまま読み耽っちゃった。閉館時間ギリギリまで粘って読了する。
P.42 ルソーの引用から 「相手国のもっとも大切だと思っている社会の基本秩序(これを広い意味で憲法と呼んでいるのです)、これに変容を迫るものこそが戦争だ、といったのです」 P.75~ アメリカにおける歴史の誤用について 「ベトナムのときには、なんの亡霊がアメリカをしばったのでしょうか~(中略)~それはアメリカにとっての『中国喪失』の体験です。」 P.305~ 松岡洋右全権が内田康哉外相に送った電報 「申し上げるまでもなく、物は八分目でこらゆるがよし。いささかの引きかかりを残さず奇麗さっぱり連盟をして手を引かしむるというがごとき、望みえざることは、我政府内におかれても最初よりご承知のはずなり。日本人の通弊は潔癖にあり。」 P.322からの胡適(駐米中国大使)や汪兆銘夫人のエピソードも面白い。 しかし、この本のクライマックスはやはり第5章の「太平洋戦争」だろう。 P.338「天皇の疑念」で書かれた1941年9月の御前会議のやり取り。そこで使われた資料や論拠。 さらに遡っての1941年7月2日の御前会議決定「情勢の推移に伴う帝国国策要綱」について。 アメリカが在米日本資産の凍結、石油の対日全面禁輸をするきっかけとなった仏印進駐について参謀本部の戦争班の日誌には「仏印進駐に止まる限り、禁輸なしと確信す」と記されていること(・・・ということはこの見込み違いが敗戦のそもそもの原因なの?)。 日本の南進に強く報復することは始まったばかりの対独戦を行うソ連へのメッセージにもなるわけか。確かにこの時点ではアメリカのソ連向けレンドリース始まってないし。 P.369の[日米の兵力格差]という図もすごい。日本を100とした場合のアメリカの艦載機生産数の変化には笑うしかない。 水野廣徳への言及も重要。 一方でP.389からの「朝鮮の人口の16%が朝鮮半島の外へと動員されていた計算になるといいます」あたりは巻末の資料にも典拠の明示がないし、「朝鮮半島の外へ」って書き方も微妙ね。大連なり満州なりへの自発的な移動もカウントされてる可能性ありかも。 序章の9.11の切り口とか「何をいまさら」的な部分もありますし、「ある団体の算出したデータによれば」みたいな、いや、まずその使用データの検証が必要だろ、と思ってしまうような資料に寄りかかって話が進んでいくところもある。 でも、それはこの講座に参加した高校生が、そして我々読み手が気付けばいいこと。 近現代史を考えるきっかけとなるだけではない、何かを考えるとき、どのようなアプローチで取り組むかを学べる良い本です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年07月29日 14時31分11秒
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