頭と心の結びつきについて
昨日、私が所属している東京同友会女性部の総会があり、そこで講演されたのが世界銀行元副総裁の西水美恵子氏です。彼女は17歳で日本を出て以来、そのほとんどを海外で生活しているため日本人の考え方とはまったく違う感覚を持っているようでした。例えば米国などでは昔の肩書きを述べる事はなく、今どういう職業であるかが重要。でも日本では元副総裁という言い方をするのね、といった調子。また、最初、会場が狭いのでマイクを用意してなかったのですが「後ろの人、聞こえなかったら手を振ってね」と云い、しばらくしてマイクを用意してきたら「聞こえるんでしょう?あら、聞こえなかったの、どうして云わないの、聞こえない!って」といった小気味良いテンポで話はどんどん進んでいきます。国籍も職業も違う何百人もの部下を束ねてリードしていたんですものね。怖いものなしです。世界銀行の仕事は発展途上国へ事業資金を融資することですが、その前にその国の情勢やリーダーの考え方、お金の使い道などを調査し、最終的には資金を回収できるように様々なアドバイスをするのが仕事とのこと。しかし、世銀の仕事をする時にエジプトへ行きスラム街で死にそうな赤ちゃんを腕に抱いて医者を待っているとき、その赤ちゃんから魂が抜け出ていくのを感じたことが自分の生き方を変えたとのこと。下痢と脱水症状で小さな赤ちゃんは簡単に死んでいく。しかし、その原因は汚い水にあり、脱水症状はきれいな水と砂糖、塩があれば解決するのに、国が貧困ゆえに簡単に子供が死んでいくとのこと。日本の九州ぐらいの小さな国ーブータンの前国王との出会いや、彼から教えられた事。前国王は国王になったとき「国が富を得たときから国は滅びる」と考えたとのこと。経済発展は国民が幸せになるための一つの手段であって目的ではない。頭で考えた事と心で感じた事が結びつくこと、それに体験が加わるとビジョンの共有が図れるなど、どんどん話の中に引きこまれていきます。世の中にはこのように凄まじい体験をしながら世界中を駆け巡り、貧困に立ち向かう仕事をしている素晴らしい人がいることを知らされました。そして、ボランティア活動はお金から入ってはいけないとも云っていましたね。ボランティアを受ける人たちが何を望んでいるのかが一番重要でそれは心で感じる事だと云ってました。しかし、今回の講演を聞くことが出来た人は50人ほどです。2000数百人の会員であらば、誰でも聞けるチャンスがあったのに、それを逃した人は「もったいない」の一言。私も何人もの人に声かけしたのに、縁がないというのはこういことなのでしょうね。そして、是非、下記の本をお勧めします。話の内容は難しい事なのですが、とてもわかり易く読みやすく書かれています。どんどん頭の中に入ってきます。自分は何のために生きているのか、自分の目標は、といったことに悩んでいる人には特にお勧めです。自分がいかに幸せな状況にあるかを思い知らされます。この世の中には、女性は人間として認めてもらえていない国があり、女は労働するための生き物で子供を生むためだけのものでしかなく、生まれてきて朝から晩まで働かされて死んでいくだけ。それが自分の生き方であると信じている人がいるということ。「貧困に立ち向かう仕事」明石書店 (2003-10-31出版)・西水 美恵子【著】[B6 判] NDC分類:338.98 販売価:\1,890(税込) (本体価:\1,800)頭をガンと叩かれるような気になる本です。久しぶりに長文でない頭を悩ませて書いたので疲れました。(笑)