若竹七海さん『猫島ハウスの騒動』
若竹七海さんの『猫島ハウスの騒動』(光文社カッパノベルズ)の感想です。葉崎半島の先、三十人ほどの人間と百匹を超える猫が暮らす通称・猫島。民宿・猫島ハウスの娘・杉浦響子は夏休みを迎え、家業の手伝いに精を出す日々を送っている。そんなある日、ナンパに勤しむ響子の同級生・菅野虎鉄が見つけてしまったのはナイフの突き立った猫の死体、いや、はく製だった!? 奇妙な「猫とナイフ」事件の三日後、マリンバイクで海の上を暴走中の男に人間が降ってきて衝突した、という不可解な通報が! 降ってきた男は「猫とナイフ」事件にかかわりがあるようだが・・・。のどかな「猫の楽園」でいったい何が!? 真夏の猫島を暴風雨と大騒動が直撃する!神奈川県の架空都市、葉崎を舞台にした若竹さんのコージー・ミステリ第3弾です。葉崎海岸の先に浮かぶ砂渡島こと通称「猫島」。住人は30人程度だが、そこで暮らす猫は人の倍以上。「猫の楽園」などと呼ばれ、そこそこ猫好きな観光客相手に成り立っている。そんな猫島も夏を向かえ、猫好き以外の海水浴客も増え、高校生の杉浦響子も実家の手伝いをする毎日。忙しいながらものどかな猫島に、この夏大事件が起こった!猫の(剥製)惨殺事件に、マリンバイクのありえない事故。その上他殺死体まで見つかる始末。たまたま非番で猫島に来ていた(奥さまに強制されてだけど)駒持警部補は一連の事件の解決に乗り出すことに。麻薬の密売に過去の銀行強盗に殺人事件と、猫の(剥製)惨殺事件からどんどん謎が深まって・・・。毎回、部下(というか手下?)をいいようにこき使って捜査する駒持警部補ですが、今回は島の臨時派出所の巡査が可哀想でした(笑)怪我また怪我。当の駒持警部補も実は猫アレルギーの持ち主で、ガスマスク装着でスー、パーッと苦しみながら捜査するんですけどね(笑)そう云えば、『ヴィラ・マグノリアの殺人』では一ツ橋、『古書店アゼリアの死体』では五木原。今回は七瀬と数字の警察官ばかりが手下いえ部下になってますね。ところでこの本で出てくる迷惑な猫好き観光客にドキッ!私も大変は猫スキーですが、追い掛け回してキャーキャー云うのは猫にとっても住人にとっても迷惑このうえないことなんですよね。「猫だらけの島!?行ってみたーい!!」なんて読み始めに思った私も反省(笑)あ、猫を捨てたおばさんには私も呪いを!本に出てくる猫の名前もセンスがあって素敵です。若竹さんご自身も猫好きだとわかる作品ですね。各章のタイトルも猫のことわざや作品名などで、それも面白い。さて、お楽しみのリンクですが、今回もあります。ラジオから聞こえる声、響子の同級生、新宿でのホテル火災の顛末。このシリーズ3作を紹介しましたが、どれも再読するのが楽しい作品です。きちんきちんと伏線が張られ、どの情報も読者へ提供されています。犯人や人の思惑がわかったうえでもう一度読むと「むふふ!」と思います。そんな楽しみ方もしてみてはいかがでしょうか?あ!最後の最後まで解けない謎が一つ。修学旅行でなにがあったのーーーー!?響子、虎鉄!!!(笑)『ヴィラ・マグノリアの殺人』の感想はこちら『古書店アゼリアの死体』の感想はこちら