如意宝珠を求めて、、、
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楢橡(ならくぬぎ)雪舞うごとく枯れ葉降り森は覚えし相模国を
2013年12月08日
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注連縄は今年の藁でぎゅっぎゅっと掌(て)につばつけて綯うもんだ
田仕舞いの藁で鰹を炙りけりラジオは北の初雪を知らす
祖母の背で母の帰りを待つ赤子泣き疲れてか足のぬくもる
2013年11月10日
山峡の石の祠や寛永銭ぬかずく人のはるかなるかな
蔵の米盗みたる村の者の名を祖父は語らず母もまた聞かず
からからと笑い酒飲む叔父の居て吾も楽しく生きていけそな
赤き実を空に残してななかまどひいよひいよの日暮れせわしく
どんぐりを踏む感触足裏の覚えておれど父あらぬ秋
コスモスのそこそこに風聞きながし
2013年10月14日
帰りても父母は居ず赤まんま
ずるずるとやがてどぼんの亀秋思
物言はぬ人にやさしく金木犀
団栗の青きを踏ます風が吹き
叔父叔母も吾も放りし歯を載せて母屋の屋根の時に傾げり
2013年10月12日
玄関に脚投げ出し寝る犬も子が跨ぐ時尻尾を引けり
残業と言いて戻れる娘の頬のはつか紅きもいつもの「おかえり」
颱風の過ぎたる朝はがりがりと径にはり付くちぎれ葉掃く音
秋色を集め華やぐ柿落葉ひと葉ふた葉の残し掃きおり
2013年10月11日
経に代え歌を歌えり坊さんは幼く逝きて秋の乾かず
2013年10月10日
平日は餌進ぜよう捨て猫よ土日旗日は良きに計らえ
2013年09月11日
暗き灯に祖母の廻せし糸車書棚の上木像のごと
東京と神奈川と千葉の雨しずく傘立てに会う香華しずかに
池に棲む亀も朝夕動かずばようよう夏も終わりなるらし
帰り際叔母上くれしビニールの南瓜二玉ゆびにくいこみ
深更の玄関そと開け入れば二階より犬転げ落ちて来
親戚の宴となりし盆の夜は考の笑いも混じりて聞こゆ
2013年08月12日
叢に光るは蛍か蛇の目と花火の夜の畦道を走る
川石の丸きまんまの墓印吾が祖先は丸き石それだけ
坂道はきつうてたまらん籐椅子にもたれて叔父は海坂を見ゆ
ベランダに洗い干したるマラソン靴蝉のとまりて夏折り返す
叔父伯母の帰りてひぐらしかなかなと八畳の茣蓙ひとり我居る
辻も失せ地蔵野仏集められただ背の順に参道に立つ
2013年06月11日
くり返すやりとりに疲れケータイの電源切れば老いた顔浮かぶ
2013年06月10日
草刈りのオトコのやる気削がぬよう花には赤いテープを付けて
木下闇過ぎれば影の現れて犬に証拠の尻尾教える
呼び捨てにしてくれる人また消えて安達太良山は春に霞んで
くさくないかくさくはないかと尋ねけり柿の木の家一人住む伯母
若楓夕べの雨をたくわえて朝に飛びだす子の肩濡らしむ
2013年05月12日
脱糞を見られる事の情けなさ上目遣いに飼われるを知る
春の雨遭いしはたしか那須あたりリアウインドー桜の花びら
鋤鎌の錆の赤さや農具小屋トタン屋根打つ雨音のひびき
咲き終えて地に伏してまた立ち上がり蒲公英白く風に背伸びす
朝露にまみれて重き草を背負いべーべーと鳴く牛の飼い葉に
つぐみ来てつぐみ歩きでえささがしだるまさんころんだはいポーズ
2013年04月11日
膝を折りちゃんくん付けてこんにちは犬飼い族のこれオキテ とか
誰にでも尾を振りくの字に凭れども耳は主の声だけを聞き
店先でもよおす犬をひきずりて森へと急ぐ雨あがりかな
2013年04月10日
道端に影置き去りに鴉発ち人の過ぐるを電線で揺れ
春の闇照らす白梅花過ぎてたちまち夜の枯れ木になりぬ