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カテゴリ:翻訳裁判所
「自覚があったのか。そうとなれば、今後の取り調べや捜査方針、日本国との戦い方にも影響が出てくる」 「よし、梨畑、わかった。取り調べはまた明日からだ。今日は思いきり、歌って騒げ」 「でも、刑事さん、、、」 「でも、何だ」 「あんな下手な歌を聴いたあとじゃ、もう歌えません」 「なるほど、そう言えば、だれかも言ってたな。梨畑の翻訳を読んだあとは、2日くらい翻訳の仕事をする気がしないって」 翌日、刑事は取り調べを再開した。 「なあ、美樹、オレはなあ、お前も犠牲者だと思うんだ。まず、業界そのものがいいものを求めていない。だいたいの意味さえわかればいい、安ければいいと思っている。とことん、経費を浮かそうとする。そもそも1枚1000円そこらで、まともな仕事ができるわけがない」 「刑事さん、1枚って何の1枚ですか。同じ1枚でも、ものによって大違いです」 「この馬鹿たれが、、。1枚ちゅうたら、原稿用紙1枚に決まっとる」 「原稿用紙でも、400字のものも、200字のものもあります」 「お前はどこまで馬鹿なんだ。200字のやつは要するに、ラーメンで言えば半ちゃんみたいなもの。1枚ちゅうたら、原稿用紙1枚、400字に決まっとる。何枚か書いて、新しい用紙に入って、「る」で終わったら、そのあとに「。」を打つ。それでも、それで1枚。ちゃんと1枚分の原稿料を払うのが常識だった」 「ええ、そうなんですか」 「当たり前だ。この馬鹿たれが、、。その常識をめちゃめちゃにしたのが、いわゆる産業翻訳業界、技術翻訳業界だ。そういうところに、お前のようなやつが仕事を求めてきて、「平均余命が増加する」なんて文を平気で書く。ちょっと考えておかしいと思っても、それで一応意味がわかるから、そんなところに時間をかけて、ちゃんとした文にしようとしない。そんな時間があったら、次の文を訳した方が金になる。何もかも効率の世界になっている」 ←ランキングに登録しています。クリック、よろしくお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.09.10 14:29:25
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