ＭＹ研究所

ヤマハには　6級までの学習者グレードとは別に
指導者向けの　上級グレード（５－３級）があります。

それぞれに　演奏グレードと　指導グレードがあり
現在は　どちらからでも受験できますが
昔は　演奏グレードを取得してからでないと
指導グレードを受験することは　できませんでした。

つまり、学習者を指導できるだけの　音楽的な実力
（即興的な力・初見演奏・演奏能力）があることを確認した上で
楽典的な知識・ソルフェージュなどのテストを
追加・補充して受けてもらっていたわけです。
　　　　　　　
さて、それでは
音楽大学や　音楽専門学校などで勉強してきた人が
これらの上級グレードを取得すれば
『誰でも先生になれる』のでしょうか。
　　　　　　　
私の答えは、「それだけでは、なれない」です。

あ、自宅などで教室を開いて
『グレードを持った先生』を名乗ることは　できますよ？
「なれない」というのは　実質的な意味で、です。
というのも、これらの試験は、
『先生として持っていなければならない能力』
を認定するものであって
実際の指導力をみるものでは　ないからです。

　　　　　　　　　　　　
「調理免許」　を持っていれば、
誰でもレストランを開いて　経営していけるでしょうか。
店は開けます。が、そのお店を続けていくには
お客様が続かないといけませんよね。
お客様を満足させる　お料理や
もう一度　お客様を惹きつける、そのお店ならではの何か
これがあって初めて、お店としてやっていけるわけです。

指導グレードも同じ事で、上級グレードを持っていれば
企業系音楽教室の採用に　有利ではありますが
3級のグレードを持っているからといって
「４級のグレードを持っている人より指導力がある」
とは　限らないのです。

持って生まれた　「人を教える素質」の違いもありますし
もとは　そんなに教えることが上手ではなかったけれど
　　長年レッスンして経験を積み重ね「自分なりの指導法」を持つ
経験は少ないけれど、その分を講座や研修に参加して補う
…などの努力で　「先生」として育っていく人もいます。