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テーマ:恋愛について(2622)
カテゴリ:探偵裏話
24hour 「修羅場へのドミノ ファースト エピソード」
「ドカっ!!」 「ボコン」と車のドアが悲鳴をあげる。 ドミノの最後の駒が倒れた音だ。 「あんた!なにやってんの!」 ドミノの行き着く先は、修羅場だった。 ----------------------------------------------- バックミラーの中で、毛を刈られる羊のようにひきずりまわされる旦那の姿が見えた。 普通は、報酬を受け取った後、すぐに現場を立ち去るのが常の私だが。 そのときばかりは、あまりの展開の速さに。 立ち去る数十秒の間の出来事を目の当たりにすることになる。 「浮気はするもんじゃないな・・・・」 10数年前、まだ駆け出しだった私はそう思った。 バックミラーに助手席の女が引きずり出されるのが見えた頃。 ようやく、私の車はランウェイを加速して、全ては過去になった。 「あの彼女はどうやって、あそこから帰るんだろうな・・・」 と、ふと思った。 ------------------------------------------------ 24時間前 「やはり、女性と一緒のようですね・・・」 「ふ~ん・・・・」 電話先で冷静を装っているが、明らかに底知れない感情を抑えているクライアントのオーラと圧力を感じる・・ そして、オーダーがあった。 「次に、その女とあっているような。たとえ「食事」をしているような状況でも。報告してください。私が現地に行きます」 現地入りか・・・修羅場だな・・ クライアントのオーダーには当然したがう。 「わかりました」 現地に直接行くクライアントは少ないが、時には家族、親族総出で現地に向かうなんてケースもないわけではない。 このときは、クライアントである奥方一人だった。 ----------------------------------------------- 一週間前 「旦那に女がいるようだ、たとえ 食事をしていても。お茶をしていても、私にとっては浮気。とにかくそういう現場があれば報告してください。」 と依頼された。 年齢は30代前半 普通のどこにでもいそうな主婦にしかみえない。 依頼者というのは特別な人ではない、ドラマなどでは金持ちの派手な、毒のあるような女性が多いが。 現実はそうではない事が多い。 旦那の顔を写真で確認した。 「普通のどこにでもいるような会社員だな・・・」 --------------------------------------------- 当初は、動きがなく。 「女はいないんじゃないか?」と思わされた。 しかし、女の勘は鋭い。 「いない可能性もありますよ」と報告したが。 「必ずいる」と・・・ ----------------------------------------------- 48時間前 そして、その直後に彼は動いた。 もうしばらく、じっとしていれば・・・・彼の幸せも、ほんの少しだけ長く続いたかもしれない。 しかし・・・彼は動いてしまった。 「ハンターは獲物が来るまで、決して動かない。動いた方がやられる。」ジャッカルの日という小説のセリフのように・・・ だが、彼は動いてしまった。 まるで 戦争映画のワンシーンで。 追われる兵士が、ジャングルの中で、地雷を踏んだのに気づかないで、足を離してしまう瞬間のようだ。 「ボタン」は押された。 導火線は信管の中で、時間を削る。 後は、全て連鎖反応のように転がりはじめる。 これは「修羅場へのドミノ」なのだ。 何が起こるかは、未来だけが知っている。 連鎖へのドミノは一個倒れてしまった。 -------------------------------------------------- 2時間前 追跡していた車が、女性を乗せた時。 私はクライアントに連絡した。 向かうところは、解らないが。 ともかく現在位置を報告。 クライアントは「すぐに出る」という。 それから、車を追跡しながら。位置を知らせる。 そして、車が止まった。場末の高速道路のパーキングエリアだ。 人影があまりないのは、せめてもの救いなのかもしれない。 --------------------------------------------------- 30分前 車内で長話をしている。 口説いているように見える。 「まだ・・なんもやっとらへんのかもな・・・」と感じた。 そうだとしたら、気の毒な話だ。 ほどなくして奥方が到着した。 女王のように悠々と私の車に近づいて止まる。 --------------------------------------------------- 60秒前 報酬を先に受け取る。 この時点で、僕の仕事は終わる。 -------------------------------------------------- 20秒前 奥方は、僕の車を離れた。 普通の主婦は「悠々と女王のように歩いてゆく」 そして -------------------------------------------- 一秒前 一秒前は「二人の楽園だった」しかし、今・・・・ 60秒後 バックミラーの中で、男女が一人の女性にひきずりまわされている。 ---------------------------------------------- 「と・・・友達やぁ!」 それが僕が聞いた、最後のセリフだった・・・ 僕の車は、高速道路のテールランプの一点になり。 すべては、過去に流れていった。 次回につづく ---------------------------------------------------- 次回 「ガス漏れや!」 さて・・・この後起こった衝撃の出来事とは? あなたの推理をコメントへどうぞ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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