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カテゴリ:オペラ ライブ
カサロヴァって低音にあんなにドス効いてましたっけ?
そして流し目と不敵な笑み、すっかり彼女のカルメンにやられてしまいました。 日本人歌手もカルメン歌いこんでいる方達なのでしょう、歌唱も演技も充実してます。そんなバックアップの中、ダルカンジェロのエスカミーリョにサッカのホセ、カンジェミのミカエラと、演奏会形式なのにぜいたくすぎです! 1幕のカサロヴァはかなり抑え目でした。私はハバネラよりセギディーリャにまずマイッテしまいました。 予想どおり、計算高くホセを誘惑するカルメン。あれはまるで、007とかに出てくるイギリスやロシアの女諜報部員ですね!あんなテクニックで誘惑されたら、男は落ちますよ~。 ハバネラではもったいつけてるように感じた歌い方が、セギディーリャでは非常にマッチング。さらに、声の強弱や緩急が誘惑をヴァージョンアップさせます。 そして2幕で全開。ジプシーの歌、エスカミーリョとのやりとり、ホセとの絡み合い、もうみんなよかった! 2幕は、実はお目当てのダルカンジェロのエスカミーリョ登場です。闘牛士の歌、予想どおりのフェロモンばりばりでオーラ振り撒きです!もうカッコ良さに涙が出てきてしまいました。 サッカのホセの「花の歌」は、かつて私が聞いたなかで一番ロマンチックに感じました。カルメンに翻弄される純情一途なさまとマッチして本当にイイです。 ミカエラのカンジェミも、純真さ醸し出して良かったですね!でも彼女けっこう日に焼けて色黒で、カーテンコールでは手を振るさまが、いかにも今の女の子という感じだったので、歌のイメージとのギャップにびっくりです。 冒頭にも書きましたが、日本人歌手の皆さん本当に歌といい演技といいすばらしいです。衣装つけてなくてももうイメージぴったり、特に佐藤さんのフラスキータと鳥木さんのメルセデスは、他の人が歌っている時に立つポーズといい、もうハマってました。 演出がない分、字幕と歌手の表情を見て、色々考えることができました。 ます、カルメンってこんなにも「自由」への憧れ、アピールが台詞や歌詞にあふれているんだと、改めて認識しました。本当にカルメンは野にはばたく鳥のような自由を渇望したんですね~ そして今回のカサロヴァのカルメンは「孤独感」を根底に据えているような気がします。 自分の容姿を冷静に判断した上で、計算高いのも惚れっぽいのも、そして感情起伏が激しいのも、すべて、孤独・人を信じない・でもぬくもり求める、という心情に基づいているのでは?と感じさせます。 そして最初は損得でホセを愛し、あまりの純情さに初めて本気になりはじめたけど、言いなりになるだけでは孤独感は癒されず、そこへ本当にカルメンの孤独を致すオーラ振り撒く、大本命エスカミーリョに出会ってしまった! カルメンの孤独を癒すという観点から見ると、ホセはあまりにも単純で一途すぎたのでは? 4幕フィナーレのやりとりなど、特にサッカの歌は全幕通して、フェロモンより自分の思いを語るという感じしましたから、フラれたのも当然、もともと合わないカップルだったのだと納得してしまいました。 最近はカルメンを見てませんが、現代のカルメンは単に自由を求めるだけではないような気がしますが、演出ではどうなのでしょうか。 サイラスの指揮は非常に冷静な音運び。私にはもうちょっと熱くなってもいいのでは?と感じましたが、これは好みでしょう。 カサロヴァは、オレンジよりもっと赤い、朱色のしかも腰近くまでスリットの入ったドレスで、ルージュも色を合わせてました。やっぱカルメンを意識した衣装なのでしょうね。 指揮 デイヴィッド・サイラス カルメン ヴェッセリーナ・カサロヴァ ドン・ホセ ロベルト・サッカ エスカミーリョ イルデブランド・ダルカンジェロ ミカエラ ヴェロニカ・カンジェミ モラレス 森口賢二 スニガ 田島達也 フラスキータ 佐藤亜希子 メルセデス 鳥木弥生 ダンカイロ 豊島雄一 レメンダード 小山陽二郎 東京フィルハーモニー交響楽団 藤原歌劇団合唱部・東京少年少女合唱隊 平成21年3月14日 サントリーホールにて お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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