4幕フィナーレ、デズデーモナとオテロが死んでいく場面にひさびさ感動しました。
タマール・イヴェーリのデズデーモナは、もう3~4回目になります。
初めては、ホセ・クーラとのオテロで、そのとき、まさに天から響くと形容できる清らかさに大変な感銘受けました。
年数経つと深みがまし、でも一途で清らかな歌声はそのまま。
今日の「柳の歌」も、なんと美しいことか!
そして死に往く場面、横たわりながら、まさに死の直前の、か細い歌声がホールに響き渡ります。
あの体勢で、ピアニシモ響き渡せるなんて、すばらしいです。
グールドはまさにヘルデン・テノールの声でした。最初高音が絞りだされるようでしたが、やっぱ4幕の死に往く場面はすばらしかった。
他人に翻弄されたやりきれなさとあきらめの表現が、セットの運河に模したプールに横たわり、半身水に浸かりながら死んでいくという演出と相乗効果抜群で、感動的でした。
イアーゴのガッロも非常にいい声で気分高めてくれました。
主要男声二人は、もちろんすばらしかったですが、欲を言えばもっと声に深味が欲しかったかなぁ。
グールドはたぶんワーグナーには英雄的でぴったりの声だけど、オテロやるならもっと声に表情があればベター。ガッロもイアーゴに期待している「悪」には、あともうちょっとスパイスがというという印象です。
ただし、こじんまりすることなく魅せてくれたのはやっぱさすがです。
演出は非常に効果的だったと思います。
舞台は直接ヴェネチアじゃないはずなのに運河?なんて細かいことは置いといて(笑)水をモチーフにライティングも組み合わせ、心理描写を非常にうまく補足していたと思います。
アイーダ、ドン・カルロ、そしてオテロとひさびさヴェルディづいた9月でした。
指揮 リッカルド・フリッツァ
演出 マリオ・マルトーネ
美術 マルゲリータ・パッリ
衣装 ウルスラ・パーツァック
照明 川口雅弘
舞台監督 大澤裕
オテロ ステファン・グールド
デズデーモナ タマール・イヴェーリ
イアーゴ ルチオ・ガッロ
ロドヴィーゴ 妻屋秀和
カッシオ ブラゴイ・ナコスキ
エミーリア 森山京子
ロデリーゴ 内山信吾
モンターノ 久保田真澄
伝令 タン・ジュンボ
新国立劇場合唱団
東京フィルハーモニー交響楽団
平成21年9月23日 新国立劇場オペラハウスにて