指揮のエッティンガーの歌手とオケのバランスつくりがとてもよかった!
メルヘンと現代感覚のマッチングした演出もとても楽しめて、そんなワーグナーに目から鱗です。
1幕
ラジライネンのさすらい人と、シュミットのミーメがもうすばらしい響き!
ジークフリート役のフランツはパワー不足、しょっちゅう水飲んでいた。
モニター画面を置き、そこに歌手をアップさせるのはとても斬新だが、今更ブラウン管の20インチとかですか~?
あとノートゥングの鍛え治し、砕いてミキサーかけて、レンジでチンして型に入れての手順はビックリw(°0°)wだけど、発想がおもしろい!
2幕
ナイトへーレの宿Vacansyにたまたま部屋を隣り合わせたアルベリヒとさすらい人・ヴォータンの会話から始まるのがおもしろい!
モニターがやっぱ効果的な使われ方で、さすらい人が白馬となって駆け抜ける様や、ミーメの本音が意地悪い人相のメイクで語られるとこなど、とてもユニーク!
2幕はメルヘンティックなセットで、被り物の方が森にたくさん登場、小鳥はさらに吊り下げられて空中移動したりと、とても楽しく見られた。
フランツは、母への思慕やブリュンヒルデへの思いを語る叙情的場面になり、少し挽回してました。
3幕
ジークフリートのフランツはようやく本領発揮に感じました。
チラシに「英雄の成長物語にみせて、実は内面の思春期と性のアナリーゼ(分析)が真のテーマ」と記載されていました。
ジークフリートは、最初はスーパーマンTシャツにデニムのプルオーバー姿、それが大蛇を倒して隠れ頭巾手に入れてブリュンヒルデに向かう際は、頭巾に見立てた黒のジャケットに黒の皮パンになって、外見から成長を感じます。
そしてシルバーブロンドの髪が美しい、テオリン演じるブリュンヒルデに出会ったあとは、まさに思春期少年の性の衝動の表現でした。
テオリンには第一声で迫力と包容力に魅せられました。次の「神々の黄昏」大期待です。
初日の感想に、(特に演出が)見られたもんじゃないというのを見ましたが、保守的な解釈を期待していればそう感じてしまうでしょうね。
私は今回は、読み替えということではなく、本質にせまって、装置がモダンになっただけと感じます。
たぶん、いわゆる神話っぽい演出だと、ただでさえ、開演14時で終演20時という長さにビビッていたわたしにとっては、退屈でとても耐えられなかったと思います。
明確なテーマ提示に舞台のモダンさが加わり、予想以上の舞台に満足です。
指揮のエッティンガーは、大の小くらいの拍手でしたが、わたしは派手さはなくとも、とてもバランスよく着実にまとめていると思いました、とても聞きやすかったです。
今日はやっぱ、ミーメのヴォルフガング・シュミットと、さすらい人(ヴォータン)のユッカ・ラジライネンが本当にすばらしかったです。
妻屋さんは、当初姿を出さず音声使って裏から響かせていて、登場の際はお腹に詰めものして、笑うセールスマンみたいな格好でした、しかし本当に何でもできる方なんですね~すごいです。
指揮 ダン・エッティンガー
演出 キース・ウォーナー
ジークフリート クリスティアン・フランツ
ミーメ ヴォルフガング・シュミット
さすらい人 ユッカ・ラジライネン
アルベリヒ ユルゲン・リン
ファフナー 妻屋秀和
エルダ シモーネ・シュレーダー
ブリュンヒルデ イレーネ・テオリン
森の小鳥 安井陽子
東京フィルハーモニー交響楽団
平成22年2月14日 新国立劇場オペラ劇場にて