ロッシーニはやっぱ軽快さが一番です。
序曲のバイオリンのポッピングのようなあまりの軽快さは、オケの為せる技か、ゼッダ御大こその技か。
セリアであっても最初から最後まで"軽さ"を楽しめました。
マリアンナ・ピッツォラートは初来日だそうですが、すばらしいです。
タンクレーディは得意役だとのこと。騎士然とした気高さは本当に役そのものです。そして高音から低音までムラなく歌いこなし、アジリタもさらっとした感じでやってしまうのですから、すごいです。
有名な1幕登場の場だけでなく、2幕フィナーレ前のサラセンとの戦いに向かう場面が印象的でした。
アメナイーデの高橋さんは絶好調だったのではないでしょうか。明るい声でアジリタ歌いまくり、とくに2幕の、タンクレーディがオルバッツァーノとの決闘に勝った喜びの場面の、スピードまったく落ちない歌はすばらしかった。
トリエステ・オペラの来日の時、ダニエラ・バルチェッローナとアニック・マシスで聞いたタンクレーディ&アメナイーデの印象に匹敵するくらいこの二人はよかったです。
アルジーリオの中井さんもロッシーニらしいテノールで高音で安定、女声二人をみごとにサポートしてます。
今回はハッピーエンドなヴェネツィア版。ロッシーニにつきものの、唐突に話がどんどん展開するのが、今回の版では、さらに拍車かかっていきます。
でもロッシーニは物語や心理描写を楽しむというより、軽快な音楽に身を委ねて、楽しい気分に高揚していくのですものね!
マエストロ・ゼッダはそんなことを百も承知で軽快に指揮していきます。
今日のオケはいつもよりとても軽い感じで、それがマエストロの音作りにとてもマッチしていたように感じました。
しかし、マエストロの80過ぎていらっしゃるのに軽快な指揮は本当に驚きと尊敬です。
今回も日本ではレア演目を奏でに来ていただいたこと、大感謝です。
舞台は基本は丸い柱がならんでおり、時代らしさとシンプルなわかりやすあ演出は良かったです。
指揮 アルベルト・ゼッダ
演出 松本重孝
タンクレーディ マリアンナ・ピッツォラート
アメナイーデ 高橋薫子
アルジーリオ 中井亮一
オルバッツァーノ 彭康亮(PENG Kang-Liang)
イザウラ 鳥木弥生
ロッジェーロ 松浦麗
読売日本交響楽団
藤原歌劇団合唱部
平成22年6月13日 東京文化会館大ホールにて