キャストが3人もかわるし・なんて事前の心配なんのその、ライブでの高揚感味わいました!
ニーノ・スルグラーゼのカルメンはホント悪い女です。ドラマの米倉涼子と高岡早紀と葉月里緒奈をあわせたくらいでも(というか、だからこそ)憎めないんですよね~
スルグラーゼがきれいだからではなく、自己主張と自由闊達さへの憧れを感じさせることが、一番の魅力だと思います。生き方に共感できるカルメンです。
スルグラーゼはこれから現代にあったカルメンを作り出していくんじゃないでしょうか。
マルセロ・アルバレスは本領発揮です、ほんとうにすばらしかった!
とくに3幕、4幕のドラマティックな展開が凄かった!
今まで見たカルメン、花の歌までの有名な歌が終わると、そのあとなんか盛り上がらなくて不完全燃焼になってしまうこと多々ありました。
でも今日は、3幕からがカルメンの真髄なのだということを、感じさせてくれる鬼気迫る熱演でした。
90年代キューバという今回の設定に、アルバレスはたいへんよくハマっていると感じます。
かえって、カウフマンだと、今回の演出に浮くんじゃないのかなぁと、聞きながら思いました。
3幕、挑発するエスカミーリョとのやりとり、ミカエラに説得され病気の母のもとに戻る決心するが帰ってくるからな!とカルメンに言い放つ場面の迫力に、のめり込みました。
4幕フィナーレ、カルメンを刺してしまったあと、嗚咽の前にソットヴォーチェで歌うのが、やるせなさを感じて、もう最高です。
渾身の役回り、もちろんカーテンコールは大歓声大拍手で、観客全員大興奮でした。
ミカエラのヴァレンティーナ・コッラデッティ、実はカヴァーだったそうですが、そんなこと感じさせません。
特に3幕の決意と勇気振り絞るアリアは訴えかけがすばらしかった!
登場は白衣姿、噂どおりかなりの体つきでしたがでもこういう看護師さんいるいる!と納得してしまいます。
エスカミーリョのカイル・ケテルセンも、噂よりずっとよかった。なんといっても、今回のボクサー設定にとてもマッチしてます。
2幕登場の白のスーツにレイバンサングラスのカッコつけた感じ、3幕のタンクトップスタイル、4幕の試合に臨むボクサースタイルがみんなサマになる。
もちろん、闘牛士の歌とかフェロモンあふれてました。3幕のホセとのやりとりは、アルバレスの自虐的迫力がすごくて、もう少し尊大さがあってもいいかなとは感じました。
でも二人とも、ネットで読んだ感想よりずっとよかったです。
今日はお客さんほぼ満員だったし(昨日のエルナーニのほうが、演目マイナーなせいか後ろの方とか空いてました)アルバレスがあれだけ張り切ったのだから、自然とノッてくるのかもしれませんね。
ミケーレ・マリオッティの指揮はとてもなめらかで本当にいいですね。ストーリーがドラマティックなカルメンで、さらに活きていたと思います。
批判殺到らしい演出、90年代キューバ設定とか、密輸が山中でなく海岸とか、エスカミーリョがボクサーとか、ミカエラが看護師とか、フラメンコでなくサルサとか、わたしはイイんじゃない、と思いながら見ていました。
ブエナ・ビスタ・ソシエル・クラブにハマっていたり、ソンとかのラテンダンスやったりとかで、抵抗ないせいかもしれませんが。。。
カルメンは聞くだけでなく、見て楽しむのも重要ですね!
指揮 ミケーレ・マリオッティ
カルメン ニーノ・スルグラーゼ
ドン・ホセ マルセロ・アルバレス
エスカミーリョ カイル・ケテルセン
ミカエラ ヴァレンティーナ・コッラデッティ
フラスキータ アンナ・マリア・サッラ
メルセデス ジュゼッピーナ・ブリデッリ
ダンカイロ マッティア・カンペッティ
レメンダード ガブリエーレ・マンジョーネ
スニガ タリスヤニス・ノルヴェリス
モラレス ベンジャミン・ワース
ボローニャ歌劇場管弦楽団・合唱団
2011(平成23)年9月19日 東京文化会館大ホールにて