今日、ミシンを買いました。
しばらくずっと迷っていて・・・。
でも思い切って買うことにしました。
結婚前、今は亡き私のおばあちゃんが高いミシンを買ってくれました。
その日のことをなんとなく覚えています。
私が会社から帰ってくると街の電気屋さんの親子がおばあちゃんのところに来ていました。
車に乗れないおばあちゃんのところには、街のいろいろな勧誘があったように思います。
それでいろいろなものを買い物していたと思います。
その電気屋の親子も時々おばあちゃんのところに営業に来ていました。
家電量販店などに行けない田舎のおばあちゃんは、小さな街の電気屋さんにとってはお得意さんだったと思います。
その日はミシンを紹介していました。
“brother”のとても高いミシン。
「お孫さんの花嫁道具の一つにいかがですか?」という殺し文句に、とうとうおばあちゃんは首を縦にふってしまったのでした。
最初私は「そんな高価なミシンはいらないから」と言っていたのですが、営業の人の話を聞いているとだんだん欲しくなっていったのを覚えています。
だけど本当に高価だったので(25万円くらい!)、買ってもらうわけにはいかないと思っていました。
去年、そのミシンが調子悪くなってしまいました。
あれから何年・・・?15年くらいの月日が経っているかもしれません。
高価なミシンのわりには使うことが少なくて、やっぱりおばあちゃんに悪かったなぁ・・・という気がします。
なので新しいミシンを買うことにすごく悩みました。
あんなに高いミシンを買ってもらっておいて、(口では「要らない」、と言っておきながら内心欲しくなっていたことが自分自身でひっかかっている)
ロクに使いもせずに捨て置いている・・・
それでも思い切って買うことに決めました。
子供のことで、今年は縫い物がある、というのも私を後押ししました。
今日、ミシン屋さんが来て、新しいミシンを置いていってもらいました。
おばあちゃんが買った値段の10分の1もありません。2万円のミシンです。
同じ“brother”で、軽くてシンプルなミシンです。
ミシン屋さんが「古いミシンがあれば下取りします」と言うので、私はミシンを下取りに出すことにしました。
おばあちゃんの話をするとミシン屋さんは
「これはいろいろと分解して、修理に使えるのですよ。おばあちゃんの思い出も無にはなりませんよ」
と言ってくださったので、少し救われるような気持ちになりました。
ミシン屋さんはウチの玄関にその古いミシンを置き、車を取りに行かれました。
玄関にミシンと私が残りました。
遠いあの日の、ミシンを買ってもらった日を思い出していました。
おばあちゃんに悪いことをした気持ちは消えることはなく、私は思わずそのミシンに向かって手を合わせました。
ミシンの上方にもしかしておばあちゃんがいるのかもしれない、となぜか思い、小さく「おばあちゃん、ありがとう、ごめんね。」 と言いました。
おばあちゃんの気持ちはずっと大切に持っていますから・・・