寝言
約束をしていたために起きたこと、それだけの時間なのかい君が見せる偽りの横顔に僕を重ねてしまうのはいけないことなの恋に狂いながら死ねる男が羨ましいね僕がそっとしてるつもりでも、君はすぐにわかってしまうね君の前に足を投げ出して力なく腕を重ねても、君は何もしない。真美、君の事を思っているのは、誰なんだろうね僕の愛する人はここにいないよ夜が過ぎていく。毎日見過ごされていく僕の姿。綾、君は心の隅に落とした僕のことを、もう忘れてしまったのかい 水のなかに漂う海のように、名もない僕の漂う世界。美奈、君の濡れた髪に口を寄せて流れる汗を、背中からシーツが拭い取って、僕を濡らしていく。髪を揺らしながら、体を少し屈めて夜を見ている瞳。僕は寂しさだけを君に与えながら、見ているだけなのかい、君は。僕のほうに近づいてこないの。何もしないというのかい。何も出来ないなんて、部屋の隅に座って待っているだけなの。そんな毎日は意味さえもない。なんていえばいいんだろう、君のように悲しい人は、僕意外いないよ。秋、瞳ばかり逸らして、君の素直な心が感じられないよ。僕の前に跪いて美しい髪が揺れていたのに。肩越しに見える月が、二人を照らし続ける夜よ、君は、あらわれない。1992 8.4君があいしてくれる僕の存在を僕は愛していなかった雪の舞うホームの隅にひざを抱えて座る姿を見ていた君はなにもいってくれない雪を見ている僕の瞳が少し閉じる時間を思い出させてさびしげな視線をふりまいてどうするの君には僕が見えていないよ恋するたびに傷つけていたのは君なんだ夜更けのシャワーを浴びるように、一人体を休めて僕は君の事思い出そうとしている秋 きみはそんなこと続けるつもりなのかい僕はまたひとりにされて、君はまた二人になろうとするさっき君に告げた言葉をもういちど君につたえてもいいの?君が知ろうとしない僕はすこし傷ついたひとりにされた子供だね夢をみているようだね 君はその手を肩からの髪にかさねて僕を見つめるすべてを確かめていく視線の先はなんなんだいおまえのように過ごせる時間を僕の心は持ち合わせていないよさびしい風に舞っていく風景