戦うおばさん
旅の話の続きです。不思議なペンションに泊まった翌日、友だちが「ちょっと珍しい料理がでるところにところに連れて行きます」と、車で走ること一時間半。途中で二人合流して一行は4人。連れて行かれた道ハズレの一軒家は、うまいこと庭にかくれている古めかしい建物でした。築30年くらい経っているでしょうか。ちょっと風流な作りですが、実はちょっと車酔い。すぐゴハンがでてくるのはつらいな~と思いながら、お座敷にあがりました。予約制で、一日一組のお客さんしか取らないのだそうです。お茶が出てきたものの、トイレに行きたくて、教えられた廊下のハズレのおトイレは、昔なつかしいポットンの…う~む、ここもなかなか不思議である。接客業であるはずなのに…早く帰りたい人がいて、私の思いとは裏腹にどんどん料理が出てきます。最初はキノコの小鉢が3つ。それからキノコのお吸い物…料理人は年配のおばさんで、お手伝いの人を一人雇っているのか裏で声がするのですが、料理は一人で作っているらしい。その小母さんが、料理を下げにくるとき、お皿をじろりと見ていきます。あ、残すとヤバいかも…空腹ではないのですが、少しずつ頑張って食べました。おばさんが合間に「どちらから?」と言うので、みんなが私のことを沖縄からと紹介します。おばさんの注目はそれからひたすら私に注がれているのを感じました。向かいに座っているNちゃんが、おばさんが料理を下げたスキに「あのおばさん、戦ってるわ!」と言いました。あ、確かに。「それもテレーズさんとこにいってるわよ」あ、これも当たってる。お店につれてきてくれたFちゃんは「あたし、戦わない主義だから…」と言うと「ダメよ、おばさんは戦いたいのよ~」とNちゃん。あ、そうだよね~わかったよ、応戦すればいいんでしょ。と言うわけで、器をほめたり、料理の作り方を聞いたり、頑張りました。料理も頑張って食べましたとも。おばさんはこれ以上薄く切れないと言うほど薄く切ったカラスミを「これは沖縄からきた人がいるから特別だから」と出してくれました。アケビに鶏の挽肉を詰めたものとか、自然薯の天ぷらとか、珍しくはあったのですが、味はそれほどでもなかったと言ったら、おばさん怒るだろうな~極めつけは5日間煮たというおいなりさん。真っ黒でした。最後に手打ちそばが出ておしまい。いくらだとお思いですか?6000円でありました。高いような、妥当なような…金を払っているんだから、残させてくれ~と私は叫びたかったです。もらった名刺の墨の字もいまいちでした。帰りの車の中で、押しつけがましい料理の出し方について、ひとしきり話に花が咲きました。「う~ん、あの料理だと3000円がいいところだな~おばさんの戦いっぷりに3000円」とテレーズ。「私はおばさんは1000円。帰りの車の中での話に2000円」とNちゃん。今日もまた多いに笑い、多いに食べた一日でした。しかし栃木にはクセのあるおばさんが多いんだろうか?