後輩よ大志を抱け!・・でも判ってぇお願い。
気の知れた後輩の家に寄ってみた。当然、連絡なんかしない。恋い焦がれる彼女でもない、ただのオッサンだ。ガキの頃からの付き合いだから、へそのゴマの数さえ知っているのだ。車を止めた。奴の部屋の明かりが見える。99%今日も独りだろう。間違いない。マンションの階段を登った。奴の家の前に来ると、何やら不気味な声が聞こえる。お経のようにも聞こえる不吉なノイズだ。 「フンガニャッララーァ・・フングァーッ・・フンガァラ」ははぁ、ついに新興宗教でもはまったか。何せこの歳まで独身だ。そう考えてもおかしくない。手にしたドアノブ。鍵は掛かっていないかった。何故だか少し緊張してきた。それほど不吉なノイズだったのだ。 「フゥーッ」一つ大きく深呼吸して、思いっきりドアを開けてみた。 「よう!おひさしぃ・・」奴はヘッドホンを耳にあて,目をつぶりながら歌を唄ってたのだ。しかも振り付き。ところが、何を唄っているのか全然判りません思い出した。奴は音痴なのだ。それもハンパじゃなく音痴なのだ。なによりも恐ろしいことに、なによりも恐ろしいことに、その音痴という事実を彼は判っていないことなのだ。5分後、おもむろにヘッドホンをはずした奴にきてみた。で、なに唄っていたの。と満足げに陶酔している奴にね。 「郷ひろみのお嫁サンバだべ。○○さん覚えてないのぉ。 実はね、妹の結婚式で唄うんだこれ。」マッ、マジですかぁ。妹さん、カワイソすぎますから。こんど日本酒でも買ってくよ。また朝まで飲むべ。昔のように。【男山】雪しばれ 特別純米生酒720ml季節限定品です