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テーマ:お勧めの本(7399)
カテゴリ:書評2nd.シーズン
「無人島に本を一冊持って行くなら」。この問いには、実は最低二つの可能性が回答のフィールドとして考えられると思います。つまり、「自分の持ってるプライベート無人島に、ジェットで乗り付けて、バカンスを過ごす」というハッピーパターンと、「運命のいたずらで、無人島に一人残されてしまった」というサバイバルパターンです。そして、この問いに対して、一番真っ先に思い浮かべてしまうベタで、おそらく多数派の発想が後者。多数派、というか、これはもう条件反射みたいなもので。昔(というか、おそらく私のような世代くらいまで)は、無人島=サバイバルだと思うんです。リッチ系な発想は、明らかに平成以降、21世紀型ではないかと。ま、海外ドラマ『LOST』みたいな番組が人気になると、またステレオティピカルなサバイバル系無人島のイメージがメジャーになるのでしょうけど。
で、私。やっぱりサバイバル系がすぐ頭に浮かんでしまう。発想の貧困。で、これまたベタなんですけど、どんなにさまざまなジャンル、さまざまな分野の本を読んでも、「ロマンがあって、物語もすばらしくて、実用性がある(ような信頼感がある)」、三拍子そろった作品は、やはりデフォーの『ロビンソン・クルーソー』しかありません。三拍子の指標はそれぞれ、「現実逃避先としてのキャパ・文字への飢餓感防止・実用性」という形になっております。 やはり、不意に無人島ですから。かなりな程度現実を直視できなくなる。とすれば、ロマンが必要だ!!さらに、私のような人種は、きっと文字に飢えることが予想されます。文字がない=社会との断絶を強制された、という感情にと襲われるでしょうから、文字は不可欠です。ま、就寝時の子供にとってのお気に入りのタオルみたいなものでしょうか。そしてやはり、見つけ出してもらう、ないしはその場で生活を続けるには、生きていかなければいけない。生きていくには知恵が必要です。知恵が湧かないときは知識が必要になります。その知識が、『ロビンソン・クルーソー』にはあります。ま、もともとこの作品、冒険小説というよりも、発表当時盛んに議論されたユートピア的思想・理想郷的思想をベースした社会派小説だったわけですから、「無人島での生活」というのはかなり具体的に想定されていたはずなんです。「これ読んで、ユートピア作ろうぜ」、というカンジだったはず…。 ということで、「無人島に本を一冊持って行くなら」、間違いなく『ロビンソン・クルーソー』。もともと好きだったレーズンを、箱で買ってつまんでいるのも、「レーズンが完全栄養食だ」という記述を本書で読んで以来。都会の無人島でも、“レーズンまめ知識”は立派に活用できています。(了) 追)ちなみに、自家用ジェットでマイ無人島行くんだったら、本なんか持っていきません(笑)。 ロビンソン・クルーソー(上) ロビンソン・クルーソー(下) 英国陸軍式男の必修科目270 ▲本気過ぎて面白かった、別の意味でサバイバルな一冊。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/05/11 03:03:43 PM
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