あなたも私もみんな百点満点
神さまは 小さな池を 泳いでいる メダカにも 湖水に浮かぶ 白鳥にも柿の木に とまっている カラスにも どぶを 走る ねずみにも動物 植物 すべて平等に 百点満点を つけて 祝福されているメダカも 白鳥も カラスも ねずみも 自分は 百点満点だと 素直に 神様の 祝福を 信じて 満足している だから 自分について 何一つ 不安や 心配 迷いがないそれぞれが 今日一日を 精一杯 生きているそれなのに 利口ぶった 人間は 「おれたちは 万物の 霊長だ」と勝手に 思い上がって しまいました 偉くなった 人間さまは神様が 自分に 与えている 百点満点が 見えなくなって しまったのです神さまに 代わって 人間が 周りのものを 評価するのですメダカは かわいいから 70点白鳥は 美しいから 90点カラスは いやだから 35点ねずみは 嫌いだから 15点感じるままに 点を つけています 人間は 貪欲で それでも 満足できないのです今度は 周りのものを 「ああだ」 「こうだ」と 比較 しはじめ善悪 美醜 清潔不潔 完全不完全 優等劣等 一流三流 利口バカ早い遅い 利益損害 成功失敗 長所短所 陰日向 裏表 右と左東西南北 有罪無罪 それらの 言葉を 発明したのですそうなると 人間の 目には そこにあるもの そのままを 見ることが できなくなりましたこだわりの メガネで 見るから です 欲の深い 人間は イライラ しながら「これは好き」 「これは嫌い」と 人びとや ものを 差別 するのです威張った 人間は それでも まだ 幸せ だったのですところが あまりにも 身勝手で 感謝の 気持ちを 失った 人間を 見た神さまは激怒して こう 叫びました 「身のほど 知らぬ人間ども まったくけしからん!わたしの 創造物に わたしの 意向を 無視し 好き 嫌いで 勝手に 評価し点数を つけて 差別する とは!」 考えこんだ 神さまは こう 決意 されたのです「百点満点の 素晴らしさ ありがたさが わかるまで 人間どもを 苦しめるぞ!」そこで 神さまは 人間の 目を まともに 自分に 向けさせたさあ たいへん!欲が 深くて 見栄っぱりの 人間は いっぺんに 自信を 失って しまいました他人と 自分を 比較し 評価し 自分に 落第点を つけて 自分を 責め 焦りはじめたのです自分が 嫌いになった 人間は 絶望し 自己否定のせいで 心も からだも 調子が狂ってこの世の 生き地獄を 這いまわっている 子どもまでも 道づれにして...葛藤に 苦しむ 哀れな 人間を見て 「わたしが お前や 子どもたちに 与えた 百点満点を お前自身で 気づくまで骨身に こたえるほど 苦しむ ほかない」そう つぶやいて 論そうと している 神さまの 目には 涙が いっぱい...「やすらぐ魔法のことば」著者:山崎房一