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カテゴリ:母
母の田舎は、地方の小さな田舎町だったにも関わらず、
地主さんたちがかたまって暮らしていた。どの地主さんも 苦学生を応援するならわしがあった。 母の実家も、苦学生を応援していた。 その中に東京帝國大學を出て、お役人になった人が出て、 ある日、故郷に錦を飾ることになり、世話になった母の実家に逗留した。 その時初めて、 長女(母の姉)がすでに嫁いでしまったことを知らされたのだった。 夜、お酒を飲むほどに、酔うほどに、彼は嘆いた。 「何故?何故?何故?私の為に取っておいてくれなかったんです?!!」 「何故?何故?取っておいてくれなかったんです?!!」 と、 お婆ちゃんを責め、男泣きに泣くのであった。 お婆ちゃんは、彼の気持ちはうすうす知ってはいたが、 将来彼が我が娘に、結婚を申し込んでくれるかどうか分からなかったから、 安心できなかった。 その頃、隣町の造り酒屋の若旦那さんが、何度も足を運んで 結婚を申し込んでいたので、つい、そちらに長女を嫁がせてしまったのだった。 お婆ちゃんは夫亡き後、一人でやってきたし、まだ若かったから、 娘の将来が、不安で、つい、急いでしまったのだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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