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カテゴリ:食べ物
私の母は、霜柱(しもばしら)というお菓子を愛でていた。
それは、落雁を作る前の粉を、小さな缶の中に詰めてあって、 その中に、飴が、ひっそりと霜柱のように、埋めてあるのだ。 飴は、普通の飴ではない。 飴の糸で作ったような、白くて薄いもので、それを、口の中に入れると、 す~っと融けて 食べたのか、まだ食べていないのか、定かではないというお菓子なのだ。 こんな風流なお菓子があるものか?というような 妙なるお菓子なのだ。 このお菓子は、作る季節があって、その時節に、時々取り寄せていた。 マンハッタンで生まれてマンハッタンで育った、アメリカ娘が 私の母の家に遊びに来た時、 彼女の口の中にそれをひょいと、入れてあげたら、 彼女が、とても驚いて、感動したらしく、 「これは、本当に日本ならではの、すばらしいお菓子ですね。 こういうお菓子をアメリカの母におみやげにしたい」と言ったそうだ。 「あの娘は、日本の味が、解る娘だね」と、私の母は面白がっていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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