|
カテゴリ:母
父が戦地から帰ってきて、初めて父のいびきを聞いた自分は
大きな恐怖を味わった。そのブルトーザーの様な響きは 部屋中をびりびりさせるようだった。恐ろしかった~~。 中学生になってから、母に 「側であんなに大きな音がして、よく眠れるの?」 と、聞いたことがあった。 母は笑って、小さな話をしてくれた。 昔、母が小学生だった頃、大好きな女の先生がいて、その先生は、 でっぷり太っていて、優しくて、何でもすばらしく教えてくださるから 心から尊敬していたのだが、ある日急に亡くなった。 その時から母は、 何でも分からないことがある時、悲しい時、寂しい時、お墓におまいりしては、 いろいろな相談したいことを 、一人で話をしていたそうだ。 女学生になっても、時々、お詣りしては、報告したり、質問したりして そこで胸に浮かんだ心のままに気持ちを決めていたのだった。 その女の先生が、 ものすごい豪傑のような、いびきの持ち主だったと噂で聞いて知っていた。 だから結婚して、初めて夫のいびきを聞いた時 「ああ、あの先生と同じだわ!」と、 とてもしあわせに思ったのだった。 「だから、いびきを聞くのはうれしいのよ」と。 私は、その話を聞いて、その頃の愛読書の「リーダーズダイジェスト」に、 投稿したいなと中学時代は思いつづけていたが、果たせなかった。 だから今日はこのエッセイをここにUPして、UP記念日にします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[母] カテゴリの最新記事
|