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カテゴリ:母
母の祖父という人は一代で財産を築き上げたから、
息子の代で、財産を失なってもらいたくないと思っていた。 よく、昔からの話しにあるような、 放蕩息子が財産を食いつぶすことがないようにと、 息子をスパルタ教育で、育てた。 息子は厳しさに堪えられず、お酒に逃げるようになった。 私の母が、2才の時、とうとう血を吐いて死んだのね。 たった2才で父を亡くした母は、周りの人からは、 「今は遠くに行っているけど、すぐに帰って来るんだよ」と おしえられて、それを信じて育ったのだが、 5才の時、向かいに住んでいる従兄弟のま~ちゃんが、 「薫子ちゃんのお父ちゃんは死んだんだから、(仮名です) もう、帰ってこないんだよ」と言うのだ。 信じられなかった母は、まあちゃんのお爺ちゃんに聞いてみよう ということで、従兄弟の家の二階に、二人で上がって行った。 「お爺ちゃん、薫子ちゃんのお父ちゃんは死んだんだよね? もう、帰ってこないよね~?」と、ま~ちゃんが聞いた。 すると そこには、まあちゃんの 家族が3人いたのだが、 一瞬しーんとなって、皆、目を伏せたのを母は見逃さなかった。 5才の母は悟ったのだった。 いそいで家にとって帰り、 裏の庭まで一気に走って行って、瀬戸でひとりで泣いたんだって。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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