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カテゴリ:母
私の母は、私の誕生日に亡くなった。
前日に5時間かけて病院に駆けつけ、そしてその晩は 母のベッドにつきそって一晩明かしたから 悔いはないはずだが… 一番大切な臨終の時、私はその場にいなかった。 いたのは、兄嫁さんと従兄弟だった。 あの日、昼過ぎて、義姉が交代に来た。 私もそのまま一緒にずっと母の側にいたのだが、 前日から一睡もしていない私はふらふらだった。 夕方6時ごろ看護師さんが体を拭きに来た時、ちょっと 母の家に戻って、少し休もうかなと思った。 10分後、 母の家に着いたとたんに、義姉から電話。 「今、お母さんが亡くなった」と。 私はそのことでいまだに立ち直れないでいる。 なぜ側にいなかったのか? なぜ手を握っていなかったのか? 何故?何故?なぜ?母の手を握って、死の間際の 心と心に通いあう沈黙の話をしなかったのか? 母は、 私が母のそばを離れたから、がっかりして死んだのだ。きっと。 お母さん ごめんなさい。 私は本当は、怖かった。 逃げたかった。 あなたが、あまりにも苦しそうな息をしていたから 耳を塞いで聞こえない場所に逃げてしまいたかった。 88才の老人ならば、悟りきった高僧のように 苦しまず、静かに、眠るように死んで行くのかと思っていた私。 なのに、あんなに苦しそうな息をして… でも、亡くなった時、急いで駆けつけると 義姉は 「ああ、お母さんは静かに、安らかに亡くなったねえ~」と 感慨深く言った。 (え?そりゃ、ないよ。苦しそうだったじゃないか=)と 私は思った。 でも、やはり、母は 安らかに眠るように亡くなったのかもしれない。 私の思い違いだと思いたい。 私自身が、狂おしいほど苦しく、泣きたいほど恐ろしかったから、 母が苦しんでいたと、思ったのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.12.23 20:33:40
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