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カテゴリ:高校時代
高校の美術クラブの頃、
公園の子供たちの遊具に絵を描くよう、要請されて、 描くことになった。大きなトンネルがトタン板で、 新しく作られていたので、トンネルの外表面と、内部を、 かわいい絵で飾る、と言うアイデアだ。 で、内部は、水族館のように、お魚などを描く。 外は、たのしい模様を描く、ということで、ある一日を部員 10人ほどが、ペンキや、ブラシを持って意気揚々と でかけた。だんだん興に乗ってきて、ついにブラシを捨てて、 手の平で、えいやっと描き始めた時だった。 私と、同級生の山川君が「痛い!!」と、同時に叫んだ。 トタンの板の継ぎ目が、 鋭くナイフのようになっていたのに気づかなかった。 同時に同じ右手の人差し指をさっくりと切り、 二人は右手を上に挙げたかっこうで、車も無い時代、 歩いて、お医者さんに行くという、なさけない目にあった。 ふたりで、とぼとぼ歩くと、 暑い夏の陽射しが私と山川君の陰をじりじりと焼き、 汗がぽたぽたぽたぽた落ちたのを昨日の事の様に思い出す。 次の日、朝の早くから、公園管理者から、クレームの電話が 先生に入った。私達は急いで見に行った。なんと! ペンキが全部たれて、絵が流れ、 どろどろの、世にも汚いトンネルになっていた。 今のペンキはすぐ乾くけど、昔のペンキは垂れちゃうのだ。 懐かしいあの頃のことは、忘れない。 山川君が亡くなったのを知らされたのは、昨年だ。 奥さんや、かわいい子供達を残して、先に旅立つなんて… この、エピソードを山川君に捧げる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.01.15 10:00:25
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