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カテゴリ:高校時代
大学の夏休み。高校時代の友人3人くらいで遊んだ帰りに、
ちょっと用事があって、知人の家に立ち寄った。 裏庭で、この家の主人と立ち話をしている男がいた。 初めて遇ったその男は、品のない小男で、がに股、 太陽を浴びて赤銅色の顔をしていた。 そして、 知人の妻の言葉から、その男が、 あの、高校時代のあこがれの<○○高校の宮様>の 父親だと言うことを知った。 私は、内心、非常に驚いて、しばらくして家を辞したところで、 帰る男に何気なく挨拶し、話しかけた。 そして、 牛山くんの様子をちょっと聞いた。 大学に行っているらしい。 私が、 彼は、高校時代、宮様と呼ばれていたことを告げると にやりとして、 一部歯のぬけた口を開いた。 「あんた、うちの息子にほれてたんだな?」 と 瞬間に、ずばりと見破られた。動物的カンだろう。 ちょっとあわてたが、知らないふりをした。 父と息子は、全く似ても似つかなかった。しかし、 よくみれば、野卑た顔の中にも、鼻筋の通ったところ、 眉毛がきりりとしているところ、が、やはり、 親子だということを、匂わせていたし、根は、素朴な男らしい。 しかし、父親の職業は、世間では、あまり大きな声で口に出せない、 ある種の仕事をなりわいとしていた。 ひとり息子の牛山君は、その後、聖職についたそうだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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